2009年6月7日(日)
昨日「BABY!~^3乗」を見たあと、続いて「ハゲタカ」を見た。
日本そのものと自ら言う「アカマ自動車」をいきなりTOBで支配しようとする 中国政府系ファンド(劉 一華:玉山鉄二) と ワシズファンド(鷲津 政彦:大森南朋)
 との戦いを描くドラマである。
最近はやりの「製作委員会」方式のプロダクションで、 筆頭に NHKエンタープライズ【NEP】 が入っているほか、 東宝、講談社、博報堂DY、Yahoo!JAPAN、TOKYO FM、日販、TUTAYA そして、マスコミの讀賣新聞とニッポン放送。
企画は、NHKエンタープライズ 配給は、東宝
こういう体制で製作しているので、2年前のNHKTVのドラマと比べると、突っ込み具合が 後退していて 『財界の意向』 を “配慮” したものとなっているように思える。
それでも、今の経済状況とか社会的問題となっている事態は反映さざるを得ない。
この映画の主役の一人がアカマ指導者に経検されている一人の派遣労働者である。 彼(守山 翔)は、自らの身分について、 【人事課では無く調達課が派遣会社に何処に何人と指定する 俺と言う個人は関係なく、人数だけが派遣会社に調達される。 まさに物扱いだ。】 と言う。

これに対して、アカマ自動車をTOBしようとする、中国系ファンド;ブルーウォール・パートナーズ代表の劉 一華が守山 翔 に近づき、折から会社を視察している外資系経営コンサルタントを指差し、 【君の月収は幾ら位? アカマ自動車が彼に払う月給は300万円、 ボーナスは1億円、あてがわれた広尾のマンションの家賃は月・200万円。 何かおかしいと思わないか?】
守山は、ファンド間の攻防に利用される形で、非正規労働者を立ち上がらせようとするが、ファンド側の戦略が変わり見捨てられる。
ここで描かれている非正規の人々の異議申し立て運動は、中国政府系ファンドの差し金として描かれている。

政府・自民党御用達の『福報堂』 や 『闇売り新聞』 などが、こういう描き方で、実際に労働運動に立ち上がっている非正規労働者の活動を歪めて描くように圧力を掛けたのではないだろうか。
また、このファンドによるTOB戦争を仕掛けているのが中国政府系ファンドであり、TOBにより、世界の工場から世界の頭脳になろうとしている中国政府が、アカマ自動車の技術力・開発力・ノウハウを丸ごと盗み取ろうとする陰謀だと描いているところも問題があるように思う。
映画の最後で大逆転を行うために、ワシヅファンドが持つ2000億ドルのスタンリー・ブラザーズ(もちろんリーマンブラザーズがモデルであろう)の「サブプライムローン」を一気にワシヅが売却することによって、意図的に世界的信用不安に落としいれ、スタンリーに依拠していた中国系ファンドを打ち負かすという都合の良い筋書きになっている。
今、世界中で経済恐慌が広がっており、少なからず乃大企業が倒れ、多くの中小企業も煽りを受けて倒れ、働いていた(日本だけで)数十万人の人々が職を失い、生活の基盤が壊されているのに、これがワシヅファンドが中国ファンドに勝つために仕掛けた謀略的信用不安によっているという筋書きは、悲劇の最中にある人々に対してあまりにも配慮を欠いたものである。 タイトルバックでフィクションと断っているが、全編が極めてリアルに描かれているので(一部はリアルに歪めて描かれているが)、観客にとっては、サブプライムショックの原因が日本のファンドの策略であるかのように思うかも知れないのだ・・・
いわゆる『メッセージ性のある』映画であり力作であることは確かだが、多くの聴衆に誤ったメッセージを送るものに成りかねないものであった。
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国家ファンドの資金力は史上空前!世界を駆け巡る新興国マネーの正体(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 ハゲタカ - goo 映画
goo映画による 【作品解説・紹介】 鷲津政彦は、ニューヨークの敏腕ファンドマネージャーとして鳴らした後、1998年に日本に帰国。以来、投資家から募った資金をもとに、徹底した合理主義で幾多の企業を買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとっていた。数年後、相変わらず閉鎖的で不透明な日本のマーケットに絶望し、海外生活を送る鷲津のもとへ、盟友・芝野が訪れる。芝野は、日本有数の大手自動車会社に対するとある巨大ファンドの買収を察知し、鷲津にこの危機を救ってほしいと頼みにきたのだ。その巨大ファンドとは、豊富な資金力を背景に設立された中国系ファンド。その命を受けた最強の敵“赤いハゲタカ・劉”が、鷲津に真っ向から戦いを挑む。
経済小説分野のトップランナー・真山仁の同名作を原作に、2007年2~3月にテレビ放送されたNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」。企業買収という斬新なテーマ、様ざまな必殺技を武器に企業を次々と買い叩くという誰も見たことのないストーリー、ドキュメンタリータッチの迫力ある骨太な演出、実力派のキャストによる迫真の演技で話題になった。その中で続編や映画化を希望する声が多数あり、ドラマ制作を手がけたNHKエンタープライズと東宝が一致協力して映画化。ドラマで鷲津政彦役を演じた大森南朋が、引き続き映画版でも主演。栗山千明、松田龍平、中尾彬、柴田恭平らドラマのレギュラー陣も出演。映画版の新キャストとしては、赤いハゲタカ・劉を玉山鉄二、買収標的となる自動車会社社長に遠藤憲一。(作品資料より)
【スタッフ・キャスト】監督:大友啓史 原作:真山仁 音楽:佐藤直紀
出演 大森南朋 :鷲津 政彦 (ワシヅファンド代表) 玉山鉄二 :劉 一華 (中国系ファンド;ブルーウォール代表) 栗山千明 :三島由香 (東洋テレビキャスター) 高良健吾 :守山 翔 (アカマ自動車派遣社員) 遠藤憲一 :古谷隆史 (アカマ自動車社長) 松田龍平 :西野 治 (西乃屋旅館社長:元IT企業家) 中尾彬 :飯島亮介 (MGS銀行頭取) 柴田恭兵 :芝野健夫 (アカマ自動車役員)
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