(引用)
NHK連続テレビ小説「らんまん」で、ついに、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)と思いを確かめ合った西村寿恵子。演じる浜辺美波さんが、寿恵子の万太郎に対する感情の変化や今後の見どころについて語りました。(和田肇)
―寿恵子は万太郎のどこに魅力を感じたのですか。
寿恵子さんは万太郎さんと比べて、狭い世界で育ってきました。ずっと同じ地域で、学校にも行っていない、友達もいない。母・まつ(牧瀬里穂)と叔母・みえ(宮沢エマ)、そして白梅堂のお客さん、という世界でした。
冒険する気持ち
一方の万太郎さんは伸び伸びと植物学を学ぶため東京に進出してきました。万太郎さんの世界は寿恵子さんが見たことのない世界。まるで日本から海外を見るようなギャップがありました。寿恵子さんはこの人が見ている世界を見てみたい、と。確固たる愛があったわけではありません。万太郎さんの夢を聞いて、それがすごく響いた。
寿恵子さんは読本、小説をよく読んでいます。現代で言うと漫画のようなポジション。私も小説や漫画は好きなので、時間を忘れて読みふけります。冒険している気持ちにさせてくれるんです。寿恵子さんの冒険です。
17歳で万太郎さんと出会ってから、寿恵子さんは意識していませんでしたが、万太郎さんと話すのが本当に楽しかったんです。
―100年前と現代で、男女の距離感の違いはありますか。
距離感は違います。万太郎さんが「かるやき」を食べたとき(両手がふさがっていたので顔ごと寿恵子の持つ菓子にかじりついた)、一番異性に近づいた。肩が触れ合って笑うとか、何気ない距離感ですごく心が動かされました。
心を開いた相手はいいのですが、実業家の高藤さん(伊礼彼方)の距離の詰め方は独特でした。ボディータッチの心地悪さ。私でも社交ダンスの距離感は苦手なのに。初対面の人と顔が近すぎます。
―印象に残っているシーンは。
ダンスシーン、社交舞踏会の場面ですね。高藤さんと決別するときの。
本番中に答えが
あのとき、撮影直前まで伊礼さんとダンスを踊りながら、こう演じればいい、という答えが見つからなかったんです。そのまま本番になって。本番中に、答えが見つかって。そうだったんだ!と。
終わった瞬間、やったぞ!と伊礼さんと抱き合って。よかったねとすがすがしいラストになりました。
―ダンスは得意?
まったく得意じゃありません。ダンスができないのに、練習で鏡張りの部屋で、周りでスタッフが見つめている環境がさらにダメ。表情筋が動かない! 伊礼さんの明るさや前向きの姿勢に助けられました。
ちょっとずつステップがなじんできて、相手との距離感もとれるようになって、社交ダンスが楽しくなってきました。もともと、練習が嫌いなだけで、ダンスは好きなんです。
高藤さんと万太郎さんは二人とも心情をまっすぐに言葉にする共通点があります。でも、寿恵子さんは万太郎さんと話すのがすごく楽しい。他の人に見せるのとは違う表情をしています。役作りでも高藤さんにはまったくなびいていません。高藤さんは入るスキがなかったんじゃないか説を、私は推しています。
―今後の見どころ。
万太郎さんと寿恵子さんが結ばれ、急激に展開が進む中、どう二人がこれからの人生を歩むのかが見どころです。万太郎さんは波瀾(はらん)万丈な人なので。
寿恵子さんにとっては、万太郎さんが起こす波を一緒に乗り越えることで、女性として一人の人間として、変化し続けていきます。これからも朝から元気を感じていただけるような、明るい作品作りをしていきます。
浜辺美波:はまべ・みなみ
2000年8月、石川県出身。
2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションニュージェネレーション賞。
2017年映画「君の膵臓をたべたい」で日本アカデミー賞新人俳優賞など獲得。
主な作品にドラマ「賭ケグルイ」(TBS系)、「私たちはどうかしている」(日本系)、
「ドクターホワイト」(フジ系)など。