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極域にある氷床の融解が急速に進み、現在、世界の海面上昇に及ぼす影響がいっそう大きくなっていることがわかったと、英ノーザンブリア大学が20日、発表しました。極域の氷床融解は、2019年に過去最悪を記録したとしています。
同大などの国際共同研究グループは、人工衛星の観測記録をもとに1992年から20年にかけてのグリーンランドと南極の氷床の変化を調べました。その結果、この間に二つの地域の氷床から7兆5600億トンの氷が融解したことがわかりました。世界の海面を21ミリメートル上昇させるのに相当する融解量だといいます。
特に19年には、グリーンランドの氷床から4440億トン、南極の氷床から1680億トンの氷が融解し、合計で6120億トンと、これまでで最も多くの氷が融解しました。
90年代初頭、グリーンランドと南極の氷床の融解による世界の海面上昇への影響は海面上昇全体の5・6%でした。しかし、30年近くたった現在では25・6%を占めていることがわかりました。
英リーズ大学のイネス・オトサカ博士は「氷床を継続的に監視することは、温暖化のもとで氷床の将来を予測し、世界中の沿岸地域が直面するリスクに適応するために重要だ」と指摘しています。