(引用)

福岡市東区の志賀島から砂州を渡り「海の中道」へ向かう。右手に博多湾、左手に玄界灘。あらためて波の荒さの違いを実感する。

海の中道は少しずつ動いている-。こんな話を聞いた。半信半疑で同区の奈多海岸へ足を運んだ。
奈多地区に志式神社がある。ここも神功皇后とゆかりがあるとされる。近くの松林を抜け、玄界灘へと開けた海岸へ。薄黄色の砂浜が西へと延び、遠くに志賀島が見える。

北風を受けながら砂浜を歩く。風化して切り立つ岸壁が少し怖い。漂着物に紛れ、土器片のような茶色い物体が落ちていた。
無数の線が等間隔に刻まれている。人為的なもの。考古遺物であれば、持ち帰れない。福岡市博物館の松尾奈緒子学芸員(考古学)にメールで写真を送ると、「弥生土器で問題ないと思います」との返事だった。

この海岸には奈多砂丘B遺跡という遺構がある。波に洗われて露出した土器片が、海の中道が動いていることを如実に物語る。

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(以下略)