2008年8月17日
今年のお盆休みは海外に出ず、福岡で『文化』に触れてました。 その最終日のきょうは、北九州芸術劇場で公演された、木の実ナナ主演の アメリカン・コメディ 【ウェディグ・ママ】 を鑑賞。 コメディなので、『鑑賞』というのもちょっと変ですが・・・

私のお目当ては、宝塚時代からのファンである香寿たつきさん。
お盆休みに何か暇つぶしできるものがないか?とインターネットで検索している中で、 北九州芸術劇場で公演される【ウェディグ・ママ】に香寿たつきさんが出ることを発見。 (心底の追っ掛けファンならば、何ヶ月も前から知っていて然るべきところ・・・) したがって、ドラマの内容や木の実ナナさん等の共演者は全く知らないでチケットGET! どんなお話でも、香寿たつきさんさえ見られれば御の字というところ。

このロマンティック・コメディは、米作家オリヴィア・ゴールドスミスの小説【MARRYING MOM】;邦題「ウエディング・ママ」(福島三郎脚本、宮田慶子演出)を世界で初めて日本で舞台化されたものとのこと。(公演パンフによる) 原作が書かれたのは20年ほど前だそうですが、団塊の世代が大量退職する2007年問題を抱えた今の日本にとっては、とってもタイムリーな企画だと思います。
幕が開くと、そこに出てきたのは香寿たつきさん扮するシガニーがパソコン通話中。 仕事上の何らかのトラブルらしい。 彼女は株式の売買をするアラフォー(約40才)のキャリアウーマン(いわゆる「勝ち組」)。 電話が終わったところに弟・妹達がやってきて話すことには、 フロリダで悠々自適の生活を送っていた母親(69歳)フィリス(木の実ナナ)が ニューヨークに帰ってくるという。
3人の姉弟は、元気でおせっかいの母親の面倒はとても見切れないと ママ(フィリス)を金持ちのセレブと結婚させようと策略をめぐらす。
さて、その首尾や如何に・・・

公演パンフレットの中で、香寿たつきさんは、 ちょうど実年齢に近いですし、結婚もしていない私は、まさしくシガニーの心境です。 (中略) 「アラフォー(だいたい40才)」を取上げたドラマのように成功している、していないは別としても、それまで仕事を一生懸命やってきたけど、ハタと気が付いたら「あれ?」と思う瞬間って、30代後半から40代半ばまでの独身女性には、誰しもあると思います。 私自身もそう。 そういう女性の代表のようなシガニーは、とても共感を誘う役だと思いますし、そんな中で最後に彼女に起こることをみて「お話なんだけど、こういうこともあるかな」って、ほっとしていただけるといいと思います。(後略)
主役は木の実ナナさんではあるが、香寿たつきさんも準主役の重要な役どころ。
サブタイトルにあるように 「愛に年齢はいらない・・・」 が、フィリス、シガニーに共通するテーマ
【ウェディグ・ママ】公式サイト
【産経新聞・紹介記事】 「老い」を笑い飛ばすコメディー 舞台「ウエディング・ママ」
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【テレビ東京関連サイト】 より
【キャスト】 Sigourney:香寿たつき(姉;アラフォー) Sharon:平田敦子(妹;アラサー) Bruce:新納慎也(弟;30才前後) Phyllis:木の実ナナ(3人のママ;69-70才) Sylvia: 鷲尾真知子(フィリスの親友;同年代) Barney:加藤満(シャロンの夫;40才前後) Todd:舩木壱輝(ブルースのゲイ相手) Paul:田中健(金持ちでお人よしのセレブ;60才前後) Bernard:尾藤イサオ(セレブの建築家;70才代) Montague:井上順(一度は破産したセレブ;69才)
【STORY】 年老いたママが、3人の子供たちが住むニューヨークへやって来る。
子供たちは「ママの世話なんてまっぴら。こうなったらママを再婚させるしかない。相手がお金持ちなら、自分たちも援助してもらえるし一石二鳥だ」と、ママを結婚させる作戦に乗り出す。そんな浅はかな作戦からママと子供たちの親子関係が浮き彫りになっていく。想像を超えるママの活躍に、子供たちは、女の幸せ、結婚の価値、愛を信じる力など様々なことに気づかされていく。 「愛さえあれば何でも叶うのだ」と…。そしてママは結婚することができるのか…。老いの親子関係を描いた女たちの逆転勝利のサクセスストーリー!ニューヨークを舞台に描かれる痛快ロマンティックコメディの決定版!!
【作・演出】 原作:オリヴィア・ゴールドスミス 脚本:福島三郎 演出:宮田慶子
【Intro】 ニューヨークを舞台に描かれるロマンチックコメディ!! 老いの親子関係を描いた女たちによる逆転勝利のサクセスストーリー。女の幸せ、結婚の価値観、愛を信じる力。「愛さえあれば何でも叶うのだ」と…
【読売新聞・劇評・杉山弘】 [評]ウエディング・ママ(アトリエ・ダンカン) 不完全燃焼の演出 70歳になろうとする母が、隠居先のフロリダからニューヨークへ戻ってくる。大都会に暮らす3人の子どもたちは、それぞれ事情があって母を引き取る余裕はない。そこで考えたのは、母を大富豪と再婚させること。新しい夫に面倒をみてもらいながら、そのおこぼれで自分たちもVIPの仲間入りをしたい。一石二鳥の妙案は果たして……。
5組のカップルがハッピーエンドを迎える米国の作家、オリヴィア・ゴールドスミスのロマンチック・コメディー。福島三郎が脚色、宮田慶子が演出した。
世知辛い現実からは遠く離れた夢物語。この世界へ観客を引き込むには、綿密な人物描写と細部のリアリティー、あるいは大胆な仕掛けが必要だろう。しかし、この舞台にはいずれもが希薄だ。
母の再婚話で物語を進めながら、肝心の母(木の実ナナ)とその相手(井上順)の人物描写は、せりふでの説明にとどめてしまう。もう一人のヒロインであり、多くの場面に登場する長女(香寿たつき)を、狂言回し役におとしめたのには、肩透かしをくらった。その長女はビジネスエリートなのに、仕事そっちのけで毎日パーティーに駆けつけるのが不自然なら、困った時に大金が転がり込むのも都合がよすぎる。
そうなると、少し強引な展開になっても演出ではじけてもらうしかない。しかし、歌あり踊りあり笑いありの展開も、中途半端ににぎやかで、もの寂しい。宮田には腕力を見せて欲しかった。
鷲尾真知子、平田敦子、尾藤イサオら芸達者な共演者が不完全燃焼の演技にとどまったのがもったいなく、末の弟を演じた新納慎也にももう少し毒を振りまいてもらいたかった。(杉山弘)
――8月4日まで、三軒茶屋・世田谷パブリックシアター。
(2008年7月30日 読売新聞)
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テーマ:演劇
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