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映画監督の園子温(その・しおん)さん、俳優としても活躍する映画監督の榊英雄さん、さらに俳優の木下ほうかさんの性行為強要疑惑が立て続けに一部週刊誌で報じられ、芸能界はもちろん世間に大きな衝撃を与えています。
2022年4月13日には、俳優の橋本愛さんがInstagramのストーリーズ機能で、一連の問題に対するコメントを投稿。
性被害や性暴力の被害者が受ける傷の深さ、告発する難しさを自身の言葉でつづっています。

橋本愛「その思いを踏みにじるような言葉を投げかけないで」
橋本さんは、性行為強要疑惑が報じられた後、「被害に遭った時に声を上げればよかった」「なぜ今更、告発をするのか」というコメントを見かける機会が多かったといいます。
そうした考えを持つ人たちに対し「同様の被害に遭ったことがないのかな、と思いました」とし「もしそうならば、それはとても幸せなこと」「どうかずっと分からないままでいてほしいと思うほどです」と正直な思いをつづりました。
一方で、なぜなのかが知りたいと思う人に対しては「分かってほしい」といい、こうも続けます。
言えないんです。
言葉を発そうとすると、たとえば口に汚物を塗りたくられたような感覚に。
記憶を思い返すだけで、人の糞を無理やり口に、体内に捩じ込まれたような感覚に。とまで言えば、どこか体感として伝わるでしょうか。
または全身を虫が大量に這うような感じ、もあります。耳や、口、鼻、目、に、虫がわらわらと侵入してくる感じ。です。
感覚は人それぞれですが、私自身の感覚を表すとすれば、これが一例にあたります。
たとえば窃盗なら、盗まれたものを取り返したい、そして、どこかで「取り返せるのではないか」という希望が持てるのだと思います。
きっととても怖いしショックだけれどこの場合警察や然るべきところにすぐに相談される方は多いのではないかと思います。
けれど、性被害は、一生、何があっても取り返せないんです。
たとえ加害者が逮捕されようと、罰せられようと、どうなろうと。
だから一番は、記憶を消すしかないんです。
ai__hashimoto ーより引用
あまりにも生々しく、リアルな表現が並ぶ、橋本さんの投稿。被害者が受けた苦痛と嫌悪感、癒えることのない傷を負った絶望感が強く伝わってきます。
また、だからこそ言葉にして被害を告発することは難しく、橋本さんはそれでも今回、声を上げた人たちを思い「それでもどうにか何かを変えたいと、なんとか言葉にしてくれた」とし「その思いを踏みにじるような言葉を投げかけないで」と訴えかけました。
最後に「被害者の方々の気持ちは、全部私の想像なので、間違ってることもあるかもしれません。でも、私自身が想像した体感に、ウソは1つもありません」とつづった橋本さん。
この投稿は反響を呼び「とても大きな意味がある投稿」とさまざまなコメントが寄せられました。
・被害者に寄り添う姿勢が伝わってきた。
・橋本さんの投稿で、勇気をもらった人も多いのではないだろうか。
・影響力のある橋本さんがいうことで、被害者の苦痛が伝わってほしい。
悲しいことに、性被害や性暴力は映画業界、芸能界に限った問題ではありません。
今も誰かが被害を受け、声を出せずに苦しんでいるのです。
被害者が受けた傷は癒えることがなく、過去を変えることができなくても、それでも被害を告発したその勇気は、もっと尊重されるべきではないでしょうか。
そして、この声が大きくなり理不尽な被害を受ける人がいなくなることを多くの人が願っています。