(引用)
2021年6月24日(木)、JR東日本四季劇場[春]にて開幕した劇団四季の最新ミュージカル『アナと雪の女王』。同名のディズニーアニメーション映画(2014年日本公開)を基に製作されたミュージカル版は、2018年のブロードウェイ初演以来、多くの都市で”アナ雪旋風”を巻き起こしてきた。

劇団四季『アナと雪の女王』【撮影:阿部章仁、(C)Disney】(以下同様)
(中略:あらすじと四季版でのアナとエルサを演じる女優たちへの礼賛)
劇団四季がディズニーと初めてタッグを組んだのは1995年の『美女と野獣』。そこから『ライオンキング』『アイーダ』『リトルマーメイド』『アラジン』『ノートルダムの鐘』と、これまで25年に渡り6作品で両者はパートナーシップを結んできた。
今回、ミュージカル版の『アナと雪の女王』を観て、あらためて時代の変化を強く感じた。というのも、本作で描かれる”愛”はいわゆる”プリンセスとプリンスの恋愛”ではなく、”わかり合えなかった者たちが一歩踏み出すことで強い絆を得る”ことや”自分と違う生き方の他者を受容する”という”愛”だからだ。

(中略:従来のお姫様像とは異なる各キャラクターの関係性について)
当初、劇団四季の『アナと雪の女王』は2020年9月にJR東日本四季劇場[春]のこけら落としとして上演される予定だったが、コロナ禍により海外クリエイティブスタッフの来日が叶わず、約9か月の初日延期。出演予定者たちも不安な日々を過ごしたという。
それらを乗り越え、華々しく開幕を迎えた本作。
発売日には23万9000枚の販売を達成し『アラジン』の初動記録を更新した。これは先の見えないエンターテイメント業界全体に大きな光を与えるニュースだったと思う。
開幕予定だった2019年の秋と2021年の今とでは”凍った世界”の持つ意味も変わる中、エルサとアナが新劇場にかけた”魔法”の意義は大きい。

さて、ここで本レビューのタイトルに注目していただきたい。
「僕たちは乗り越えられる!」とは、ある登場人物がピンチに陥った仲間に語るせりふだ。わたしにはこの一言に出演者やスタッフ、関係者の本作への思いが詰まっているように感じられた。
ぜひ、劇場でその答えを見つけて欲しい。
取材・文=上村由紀子(演劇ライター)