2008年7月1日、今年も後半に入ったことに気付いた。 何と早いこと!
今日はファーストデイ・スペシャルの1000円で映画を見られる。 で、話題の「告発のとき」を見た。

「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」のプロデュースしたクリント・イーストウッドの全面協力によるものとのこと。
主演は、日本の缶コーヒーの宣伝で良い味を出しているトミー・リー・ジョンズ。 相手役はシャーリーズ・セロン スーザン・サランドンも助演している。
まだ、始まったばかりなので、ストーリー紹介は簡単に留めるが、 トミー・リー・ジョンズ演ずる主人公・ハンクの次男・マイクが、イラクからの帰還直後に行方不明になり、 米国の基地周辺で、切り刻まれた焼死体という無残な姿になって発見されるという流れ。
父親が一人で犯人探しをしているのを見かねて、シャーリーズ・セロン扮する女性刑事・ エミリーが、公務ではなく裏で手伝うという話。 この二人にロマンスが生まれる訳ではない。
犯人探しの過程で謹厳実直に育てたはずの息子・マイクがイラク捕虜虐待や麻薬に手を染めていたらしいことも浮かび上がり、苦悩する姿を映し出す。
また、同じ部隊に居たある青年(マイクとの距離感から言うと『戦友』とは言えそうもない)は語る「イラクはひどい状態だった。一層のこと原爆で壊滅させればよいのに・・・」という趣旨の発言を真顔でする。 そこには、「核兵器依存症」のアメリカ政府の影と伴に、「広島・長崎への原爆投下が日本軍の組織的抵抗を集結させ、アメリカ兵の犠牲を最小限にした」という原爆“神話”が、米兵に蔓延(定着?)していることをも示唆しているように感じた。
マイクは、基地に携帯電話を遺留しており、これを持ち出したハンクは『ITオタク』の青年に依頼してデータの修復を頼む。 その中の画像や映像が、修復されて送られてくるのであった。
そこに映った息子・マイクが撮影した映像は、戦争が兵士の心を破壊し、非道になってゆく様子が捉えられている・・・
【スタッフ】 監督:ポール・ハギス 撮影監督:ロジャー・ディーキンズ 原作:マーク・ボール(プレイボーイ誌掲載)“Death and Dishonor” (事実を調査して書かれたもの Based on True Story )
【PG-12】 に指定されているが、それらしき映像はと言えば、米兵が憂さ晴らしをするストリップ・クラブでの多少濃厚なサービス場面がある位のことで、取り立てて「成人映画」指定にするほどでもないと思うが・・・ あるいは、「切り刻まれて焼かれたマイクの断片」の描写の方かも・・・ または、イラクでの虐待を示唆する映像の方か・・・
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以下、【映画の森】 より引用
「告発のとき」 星条旗の下 翻弄される父子 藤枝正稔2008/02/23
米アカデミー賞作品賞を受賞した「ミリオンダラー・ベイビー」「クラッシュ」でそれぞれ脚本、監督・脚本を手がけたポール・ハギスが、軍を脱走した息子を捜す父親を主人公にしたドラマ「告発のとき」。出演は息子を探す父・ハンクに「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズ。ハンクとともに事件を追うサンダース刑事に「モンスター」のシャーリーズ・セロン。ハンクの妻・ジョアンに「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドン。
退役軍人のハンクのもとに「イラク戦争から帰還するはずの息子が姿を消した」と知らせが入る。ハンクは息子が帰還したはずの町に向かい、軍隊に探りを入れるが誰も行方を知らなかった。地元警察に捜索を依頼するも「軍の管轄」と拒否される。ハンクの担当となったサンタース刑事が捜索を手伝うことになった矢先、身元不明の焼死体が発見される──。
ハギスにとっては、脚本を書いた「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」に続く戦争作品になる。この2作品は戦争を内側から描いたが、「告発のとき」は外側から描いたといえよう。退役軍人・ハリスのキャラクター作りには、相当なリサーチをしたと思われる。軍人の生き方から抜け切れない男を、しわくちゃ顔のジョーンズは怒りを押し殺した演技でみせる。対するサンダース刑事役のセロンも、女性のために同僚に色眼鏡で見られて何かとからかわれる。相談に来た女性をないがしろにしたため期せずして起こる悲劇など、ディテールの描きこみも卓越している。
息子が立ち寄ったと思われるストリップバーや怪しげなクラブを探るうち、父は彼の別の顔を知る。厳格な父親が消息不明の子供の行方を捜すため、闇の世界に足を踏み入れる映画「ハードコアの夜」(79)を思い出す。キーポイントは息子の残した携帯電話の動画記録。灼熱のイラクで壊れてしまった携帯。記録の修復を依頼した業者から来る情報をもとに、父は自分の勘を頼りに捜査する。このあたりは現代的な演出だ。日常の風景を携帯の動画に収めるのは分かるが、最前線でも撮影する息子には違和感が残った。戦争で精神バランスを崩した証拠なのかもしれない。モーテルの部屋で一人受話器を握り締め、事件の状況を妻に伝える父。孤独な闘いの苦悩、弱さを見せる瞬間だ。サンダース刑事に夕食を招かれ、彼女の息子に読み聞かせるダビデとゴリアテの話。無骨だが優しさを秘めた父の顔を見せる瞬間に、ジョーンズの内面の演技が際立つ。
軍の厚い規律の壁を前に、息子と同じ部隊の若い兵士と接触する父。口を開こうとしない者や反発する者には、懐に忍ばせたウィスキーの小瓶で心を解きほぐす。一般人には分からぬ、軍人同士の目に見えない絆を見るだ。そしてラストカットで映る星条旗。「父親たちの星条旗」で、旗を揚げる一枚の写真から、英雄に祭り上げられた若者たちの悲劇を執筆したハギス。米同時多発テロ事件以降、国家が選択した戦争に対する強いアンチテーゼがこめられているように感じた。主演のトミー・リー・ジョーンズは米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。
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