(引用)
古今東西の名著をやさしく解説するNHK Eテレの『100分de名著』。
8月に取り上げるのは、児童文学の金字塔であるミヒャエル・エンデの『モモ』。
日本でも累計341万部を記録した大ベストセラーは、現在でも「本当に豊かな生とは何か?」という疑問を投げかけ続けている。
今回『モモ』を読み解くのは、京都大学教授の河合俊雄。ユング心理学の巨星・河合隼雄を父にもつ臨床心理学の専門家だ。
河合教授は、私たちが意識することのない心の深層に迫るためには、『モモ』のようなフィクションを読むことが大事と解説。『モモ』なら何度も読んだという人にも、驚きの読解を披露する。
番組MCの伊集院光との掛け合いにも注目だ。
そして、本シリーズの朗読を務めるのは、劇場アニメ『この世界の片隅に』で声優を務め、好評を博したのん。
『私をくいとめて』(2020年冬公開予定)で主演を務めることも発表され、ますますの輝きを放つ若き才能がどんな朗読を聞かせてくれるのか。独特の世界観をもつ『モモ』だけに期待が高まる。
なお、NHKテキスト『100分de名著』の記念すべき100作目となる『NHKテキスト100分de名著 ミヒャエル・エンデ「モモ」』も発売中。
100作品突破を記念して、歴代講師が名著の読みどころを紹介する企画「#たちよみ100分de名著」も『100分de名著』の公式Twitter(@100min_Meicho)でスタートした。ぜひ、お気に入りの一冊を見つけよう。
■『モモ』あらすじ
ある日、街はずれの円形劇場跡に現れた少女モモには、不思議な力が備わっていた。街の人びとは、モモに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になり、失った自信をとりもどすのだ。しかし、そこにやってきたのが「灰色の男たち」。彼らは人びとに時間の節約を説いてまわり、浮いた時間を盗んでいく時間どろぼうだった。みなが心の余裕を失うなか、ついにモモが立ち上がる――。
『モモ』には現代社会への強烈な批判も含まれており、単なる児童文学の枠に収まらない作品として知られる。現在、新幹線や飛行機などの移動交通手段が発展し、インターネットが社会の隅々にまで行き渡った。しかし、私たちは時間を節約するどころか、ますます忙しくなっていないか。豊かさを手に入れたつもりで、張り合いのない日々を繰り返していないか。『モモ』という作品は、「灰色の男たち」が私たちの背後にいることも告発する。
番組情報
NHK Eテレ『NHK 100分de名著「モモ」』(全4回)
08/03日(月)、 08/10(月)、 08/17(月)、 08/24日(月)22:25~22:50 ほか放送予定
書籍情報
『NHKテキスト100分de名著 ミヒャエル・エンデ「モモ」』
発売日:2020年7月22日
判型:A5判並製
ページ数:104ページ
出版社:NHK出版