2017年3月26日(日)
今日、博多区の中洲大洋で、北九州が舞台の映画 【グッバイエレジー】 を見ました!

マイナーなローカル映画につき、観客は十数名でしたが、 映画の内容は、とても良いものでした。
見慣れた風景と小倉祇園太鼓を始めとする祭りも配されていて 興味深いものでした。
門司小倉が舞台なので暴力団とそれに感化された不良集団の 話がベースですが、そこから立ち直って『夜回り』をする 老年の域に近づいた男と、その中学生時代の友達で映画監督に なった男が主人公です。
夜回り中に不良少年に刺されて命を落とした友人(吉田栄作)の足跡を 今は売れないフィルム映画監督(大杉漣)が関係者に話を聞きながら 回想すると云うもので、昭和40年前後の回想シーンが映画の大半を 占めています。 多くのベテラン俳優を配しながら、回想シーンで『無名の』若手を起用して 将来に繋いでいます。
映画監督と小倉で「昭和館」の火を守る小家主(藤吉久美子)を通じて、 また、映画の膨大な資料を保存する実存する民営保存館(松永文庫) の紹介を通して、フィルム映画への熱烈なオマージュが表出されます。 映画に出てくる「昭和館1・2」は、小倉に実在する映画館で、 中洲大洋劇場と同じような立ち位置にある映画館のようです。
中洲大洋で上映される意味がよくわかりました!
映画の終盤では、映画の中の監督の九十代の母親が、戦争について語るシーンも 配されていて、この映画の監督の反戦メッセージが伝わってきます。
私的にはお薦めの 、多くの人々に見て頂きたい映画でした!
映画公式サイトへのリンク http://goodbyeelegy.com/
中洲大洋の作品紹介記事監督 : 三村順一 出演 : 大杉漣、石野真子、藤吉久美子、吉田栄作、 中村有志、仁科亜季子、大和田獏、森田順平、 森永悠希、遠藤健慎、飛葉大樹、佐々木すみ江
【あらすじ】 一度は故郷を捨てた男・深山晄は、中学時代の同級生・道臣の死をきっかけに、数十年ぶりに北九州に帰ってくる。晄の胸には様々な故郷の記憶と、道臣との懐かしい日々が蘇る。 紫川で泳ぎ、釣りをした。喧嘩に明け暮れ、大好きな映画館〈小倉昭和館〉に通い、銀幕スター・赤木圭一郎に憧れて将来を語りあった。晄が映画監督を目指し、東京の学校に進学する折に交わした道臣との誓いの言葉など……。 晄は久しぶりに〈昭和館〉に、後輩の淳子を訪ねる。二人は道臣の思い出話と、北九州の街の未来について語りあい、時を忘れる。また、晄は、故郷に置き去りにしてきた年老いた母が一人暮らす実家に向かう。突然帰ってきた息子を温かく迎え入れる母。互いに抱いていたわだかまりは消え、二人は親子の会話を久しぶりに楽しむ。
公式サイトをみると、この映画は監督の自伝的映画で 映画の進行そのままに、取材をしていたとのこと。
三村監督からのメッセージ いつかは「映画」にしてやろうと言う親友がいました。もう50年近く会ってなく、生きているのかどうかも分からない。昭和30年代の、北九州小倉の風景とその男の寡黙な表情が、長い間、僕の心の拠り所でした。70年近く生きて来て、息詰まったり、めげた時は、気が付くとその男の無言の笑みを思い出していました。 人は誰でも、「人生のエレジー」を抱きかかえて生きているんじゃないかと、この歳になって思うようになりました。今なら書けるかも知れない。僕は数十年ぶりに小倉に帰りました。大都会でもない、田舎町でもない小倉は殆ど、懐かしさで僕を受け入れました。「あいつと会いたいな……」「そうだ、映画で会えば良いじゃないか!」。脚本を書く、きっかけでした。
少年時代、ヤクザを刺し鑑別所に入り、出て来てからは陸で生きて行くのは難しいと行方をくらませたあいつ。昔の仲間に取材を開始しました。 ヤクザのスカウトを逃れて、名古屋に行ったとか、甲板員になってマグロ船に乗ってるとか、様々な話を聞きました。実在の男なので、ドキュメンタリーには勝てないなと思いつつ、フィクションをでっち上げる。とは言え、全くの作り話には当然出来ず、僕の中に存在し続けている「あいつ」を書きました。
映画を撮れなくなった「映画監督」が脚本を書き進めるのと同時進行で、「あいつ」の話が進行すると言う脚本の構成にしました。 或る日の事。映画に協力するよと言う小倉の人達と呑んでいる席で主人公の「あいつ」の話をしたんです。すると、その場にいたある人が「その人、僕の叔父です!」。 かくして、僕は「あいつ」と再会したんです。お互い、生きていた事を、心底、喜びあいながら。
************** 三村順一 (みむら・じゅんいち)
監督・脚本 1948年10月13日生まれ、福岡県北九州市(小倉)出身。早稲田大学を中退し、蔵原惟繕に師事。
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