観劇レビュー&旅行記
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女子高校生に福島第一原発事故現場を『視察』させ これを報道するNHKの狂気!
2015年11月25日(金)

 先日来、facebook などの SNS で、高校生を防護服を着せることも無く
バスに乗せて、メルトダウンした原発廃炉作業のすぐ横を『見学』させて
いたことが大きな問題になっていた。

 SNSによれば、この『視察』のコーディネーターは、名だたる「原発推進論者」で
『安全』をアピールするために、女子高校生たちを利用したらしい。
(NHK番組によれば、東京大学大学院 理学系研究科 早野龍五教授とのこと)

 それほど遠くない将来に妊娠・出産の可能性を持つ女子高校生を
放射線量が未だ高く、作業員は『防護服』を着て作業しているすぐ横を
バス内とはいえ、防護服も無く滞在して見学させ被曝させているのである。

NHK番組に依れば・・・
 最低限の対策として、靴に袋をかぶせ、手袋をします。
 なんと、靴だけ!

 もっとも放射線防護服と言っても、殆どの放射線は貫通しているのであるが。

 視察は2時間も続いた と云う。

     *******************

 こんな如何わしいイベントを、NHKは「高校生の果敢な挑戦」 であるかのように
取り上げ、【クローズアップ現代+】 や 朝のニュース番組 【おはよう日本】等で
肯定的に取り上げたのである。

 「本人が希望した」からと言って、「許可して良い」訳では無いではないか?

 そこに、ティーン・エイジャーの被曝の危険性や東京電力の責任を問う立場は
見受けられなかった。

      NHK 【おはよう日本】 の映像から
  爆発して炉心が露呈しているような原発の至近距離を
  「バス内」から『視察』
NHK_20161124-02.jpg
  NHKの放送では、無責任にも
 『バスの中であれば放射線を遮へいするため、
  視察中はバスから降りることはありません。』 と言っている。
  放射線は、様々あり鉄でもコンクリートでも貫通するものがあるのに!
  バスの薄い鉄板で遮蔽できるのは、放射線の内極一部に過ぎない!
  病院の弱いX線でさえ「鉛」で遮蔽されていることでも明らかである。

 『中立・公正』 を 保障するために、以下に 【おはよう日本】 のリンクを掲載し、
記事の続きで引用する。 この画像を見ると10分間の大きい枠での放送だったようだ!

原発事故と向き合う高校生
 NHK【おはよう日本】 - 2016年11月24日(木)


また、朝日新聞も無批判に取り上げているようだ!

福島の高校生、廃炉現場を見学 18歳未満で事故後初
 朝日新聞・川原千夏子 - 2016年11月18日21時28分


 (なお、朝日新聞は『著作権云々かんぬん』とうるさいので引用しない。)

     ******************

11月29日 追記

 このニュースは少し遅れて日本経済新聞でも「肯定的」に取り上げていた。
あたかも、見学を拒んでいた東京電力の壁を高校生が『こじ開けた』ような
大仰な見出しを付けて・・・

福島廃炉を初見学 高校生が破った東電のカベ
 編集委員 滝順一

 2016/11/28 6:30 日本経済新聞 電子版


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原発事故と向き合う高校生
 NHK【おはよう日本】 - 2016年11月24日(木)
 

 先週金曜日、福島県内の高校生たちが、ある場所を訪れました。
東京電力福島第1原子力発電所です。
原発の事故後、18歳未満の立ち入りが認められたのは初めてのことです。


 事故から5年8か月。

農業や観光業などで続く「風評被害」。
福島から自主避難してきた中学生に対する「いじめ」。

 廃炉まで40年かかるとも言われる中、高校生たちは現場で何を感じたのでしょうか。

 和久田
「今回、東京電力福島第一原発を訪れたのは、県立福島高校で化学や物理に取り組む『スーパーサイエンス部』という部活の生徒たちです。
震災直後から身近な場所の放射線量を測ったり、風評被害に苦しむ農家から直接話を聞いたりして、原発事故の実態を福島県外や海外の人たちに伝える活動をしてきました。」

阿部
「震災から5年がたち、東京電力は関係者以外の原発の視察を受け入れつつありますが、18歳未満の高校生が立ち入るのは今回が初めてです。
高校生たちは、なぜ原発を視察しようと思ったのか、現場で感じたことは何か、取材しました。」

高校生が原発視察へ その思いは

リポート:夜久恭裕(おはよう日本)


先月(10月)開かれた、原発の視察に向けた勉強会。
視察の許可が下りた9月から、生徒たちは専門家を招いて準備を進めてきました。

 東京大学大学院 理学系研究科 早野龍五教授
「廃炉の最終的なところを見届ける世代、特に福島で生まれ育った世代は、それをきちんと見ていく、一番最初のチャンスとして、現場はどうなっているか、君たちの目できちんと見てほしい。」

 参加する生徒は本人が希望し、保護者の同意も得た13人です。


その1人、2年生の法井美空(のりい・みく)さんです。
廃炉に40年かかるとも言われる中で、現場が今どうなっているか知りたいと参加を決めました。

法井美空さん
「働いている人がどういう思いでいるのか気になるし、(廃炉が)どれくらい進んでいるのか、問題点は何か。
メディアで聞いただけでは分からないこともあるので、自分の目で見て確認するのがいちばんかなと思って参加した。」

 小学5年生の時に震災に遭った法井さん。
その後、もとの生活を取り戻すうちに、原発への関心は薄れていました。
それが変わったのは、「スーパーサイエンス部」の活動がきっかけでした。

 今年(2016年)5月、法井さんたちは街の中心部にあり、市民に親しまれてきた信夫山を訪れました。
震災直後に、基準を超える放射線量が観測され、山の中にある公園は一時、利用が制限されていました。
法井さんたちは、線量がその後どうなったのか調べました。

 「0.254マイクロシーベルト/h。」

 集めたデータは、地元の幼稚園で報告しました。
震災以来、中止されていた信夫山への遠足を再開すべきか、保護者たちが迷っていると聞いたからです。
法井さんたちは、自分たちで測った線量を示しながら、専門家の意見も交え、遠足を再開しても大丈夫だと説明しました。
しかし、保護者から飛び出したのは思いがけない質問でした。

保護者
「自分に子どもができたとして、行かせたいと思いますか?」

 法井さんにとって、信夫山は特別な場所でした。
毎年春になると、家族や友だちと一緒に登っていました。
それが今も「危ない」という声が根強く残り、遠足が実現しないことに悔しさがこみ上げてきたのです。

 法井美空さん
「これ(遠足)がないと春が始まらないくらい、自分にとっては大きな機会で。
今しか子どもと親が一緒に山に登ることは、自分は今、高校生になってから親と信夫山に登ろうという気にならないので、今しかできない大事な経験だと思う。
だから復活してほしい。」

そんな法井さんが今、心を痛めているのが、横浜で福島から避難してきた中学生がいじめを受けていた問題です。

法井美空さん
「そのニュースを、朝バタバタしている時間に見たが、そのときに思わずテレビの前で立ち止まってしまって、なんか、つらいなと思った。」

福島に向けられた偏見の目。

人の心にいったん染みついた先入観はなかなか変わらないことに戸惑いを感じていました。

 いよいよ視察の日。

生徒たちは、さまざまな問題の引き金となった原発の事故現場を直接、その目で確かめて自分たちに何ができるのか考えようとしていました。
発電所の構内は、大半のエリアで放射線量が下がったとして、普段着での視察が認められています。

 最低限の対策として、靴に袋をかぶせ、手袋をします。

常に線量計を携帯し、被ばく量も管理します。
バスの中であれば放射線を遮へいするため、視察中はバスから降りることはありません。

 出発して、まず目に飛び込んできたのは、たくさんのタンク。
今も大量の汚染水が出続けているとの説明に、思わず東京電力の社員に対策は万全なのか、たずねました。

法井美空さん
「タンクが並んでいる領域の周りに壁があるんですか?」

東京電力の担当者
「周りも壁もあって、そこには屋根がつけてあって、雨が入るのを少しでも防ぐようになっている。」

 そして、水素爆発で無残な姿をさらした原子炉建屋。

そこは線量も高く、防護服がないと活動できないエリア。
核燃料の取り出しもまだ終わっていないため、毎日少しずつしか作業は進められません。

法井美空さん
「重装備なんだな。
これだけ近いので。


生徒たちがここに滞在したのは、ほんの数分。
40年かかるという廃炉の厳しい現実を目の当たりにしました。
およそ2時間の視察が終わりました。

最後に、被ばく線量は問題がなかったことを確認した法井さんたち。
ほっとすると同時に、福島の復興への長い道のりをかみしめていました。

法井美空さん
「廃炉という問題は大きいとすごく感じたし、これから長い間、福島の人として向き合っていかなければならない問題だと改めて実感した。
よい面も見たが、まだ残っている悪い面も見た。
両方の面をしっかり伝えていけたらいいと思う。」

 阿部
「現実と向き合おうとする高校生たちの強い気持ちを感じましたが、一方で若い世代に放射線や廃炉の問題だけでなく、偏見という問題まで背負わせている現実は忘れてはなりません。
福島に対する偏見は海外でも根強く、福島高校の生徒たちが外国の高校生と交流した時に、福島に人が住んでるのかと聞かれ、傷ついたこともあったそうです。」

和久田
「今回、原発事故の現場を視察した法井さんたちは、来年(2017年)春、フランスに行き現地の高校生たちと再び交流することになっていて、その場で『福島で自分たちも頑張って生きていることを伝えたい』と話していました。」



福島廃炉を初見学 高校生が破った東電のカベ
 編集委員 滝順一

 2016/11/28 6:30 日本経済新聞 電子版
 

  福島県立福島高校の1、2年生13人(男子5人、女子8人)が5人の同校教諭とともに11月18日に、東京電力・福島第1原子力発電所の廃炉作業現場を見学した。2011年の事故以後、福島第1原発に18歳未満が入るのはこれが初めて。生徒たちは原発や放射線について事前に勉強し東電の担当者を質問攻めにした。記者は見学に同行し「これは小さくて、大きな一歩ではないか」との印象を抱いた。

高校生たちは現場に入る前にJヴィレッジで概況説明や注意事項の説明を受けた
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高校生たちは現場に入る前にJヴィレッジで概況説明や注意事項の説明を受けた
■約2時間、バスの中から敷地内を見学

 福島第1原発事故の後始末は巨大で複雑な国家的事業だ。高校生の見学がその状況を変えることはない。廃炉や除染の費用は天井知らずで増え、賠償をめぐっては東電と被災者との対立が続く。見学は小さな出来事にすぎない。しかし学校、東電の双方の当事者にとって見学に踏み切るのは決して小さな決断ではなかったろう。こうした小さな一歩の積み重ねがなければ、廃炉も復興もうまく前進しないにちがいない。

 まず当日のスケジュールだ。生徒たちは午後1時半ごろ、見学者の受け入れ拠点になっているJヴィレッジ(サッカーのナショナルトレーニングセンター、福島県楢葉町、広野町)に到着した。予定より約30分遅れだった。

1号機原子炉建屋はカバーが取り去られ建物上部の除染が本格化しつつある。
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1号機原子炉建屋はカバーが取り去られ建物上部の除染が本格化しつつある。
 東電の石崎芳行副社長(福島復興本社代表)と増田尚宏常務(廃炉推進カンパニー社長)らが出迎えた。生徒たちは廃炉のごく簡単な概況説明を受け、現場での注意事項を聞き、専用バスで約20キロ離れた福島第1原発に移動した。

 原発の敷地内にいたのは午後3時ころから2時間ほど。入退域管理施設を通り個人用線量計と手袋を受け取り、靴カバーをつけて、今度は構内専用のバスに乗り込んだ。普段の制服や体操服のままでマスクも着用しなかった。その代わり、免震重要棟に入る以外は敷地内にいる間、参加者はバスから下車しなかった。

 見学はまず1号機が眺望できる高台を目指した。多核種除去設備(ALPS)が入ったテント、汚染水のタンク群を抜ける。1号機の原子炉建屋は建屋を覆っていたカバーがとれて上部の鉄骨がむき出しになっている。

免震重要棟で東電担当者からの説明を聞く高校生たち
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免震重要棟で東電担当者からの説明を聞く高校生たち
 次にプールから使用済み核燃料の取り出しが終了した4号機の前まで行き、それから北に回り込み、5、6号機の横を通って津波で壊れたタンクなどがまだ残る港湾部に達した。最後に免震重要棟を訪れた。

 最初は表情に硬さも見えた生徒たちだったが、Jヴィレッジからの移動のバスで隣席の東電の人から話を聞いたり友人同士で会話したりするうち緊張が解けてきた様子で、敷地内の見学中は石崎代表らにしきりに質問を投げかけていた。報道陣も同乗したが、走行中は席を立つことができず、どんな会話があったのかは、見学後に尋ねるしかないのは残念だった。

■東電の内規「18歳未満お断り」 東大教授が説得

バスの中で石崎芳行・東京電力福島復興本社代表を質問攻めにした
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バスの中で石崎芳行・東京電力福島復興本社代表を質問攻めにした
 記者が福島第1を訪れるのは5回目だ。今回、東電が用意した見学コースは放射線量が高い場所を避けているようにも受け取れた。今も線量が高いのは1~3号機の近くだ。免震棟や新しく建てた事務棟がある内陸の高台は除染が進み、作業員の人たちも白い防護服などを着ずに平服で活動している。逆に1~3号機に比較的近いところでは、この日も防護服に全面マスク着用で働いている姿があった。見学バスは1~3号機には近づかなかった。これが「標準的な視察コース」と東電の広報は説明している。

 また東電によると、一時的な訪問者の被曝(ひばく)量を1時間あたり0.1ミリシーベルト以下にするよう決めているという。実際はこの上限値より低いのが通常で、この日の見学も全員が一けた小さい0.01ミリシーベルト以下だったという。

 見学を終えてJヴィレッジに帰ったのは、日も暮れた午後5時半すぎ。車座になって生徒らと石崎代表らとの質疑応答が30分ほどあり、その後、報道陣が生徒たちに見学の印象を個別に尋ねる時間があった。解散は6時半。あっという間である。

 誰もが感じる疑問は「今なぜ高校生が」だ。

視察を終えた後、車座になって石崎代表(青い服の中央)や増田尚宏・東電廃炉推進カンパニー社長と質疑応答
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視察を終えた後、車座になって石崎代表(青い服の中央)や増田尚宏・東電廃炉推進カンパニー社長と質疑応答
 石崎代表によると「内規に基づいてこれまで18歳未満の視察はお断りしてきた」という。しかし今回は、敷地内の放射線のレベルが低くなったということを踏まえ、「生徒さんたちから強い要望があったので、ご両親の許しを得るという条件をお願いしたうえで受け入れることを決めた」という。

 石崎代表は「私たちはどんな人にもぜひ自分の目で現場を見てもらいたいと思っている。多くの人に見てもらう積み重ねの中で実態を分かってもらい信頼の再構築につなげたい」とも話し、今後は見学の門戸を広げたい考えを示した。

 実は見学の実現で橋渡し役を担った人物がいる。東京大学の早野龍五教授(物理学)だ。早野教授は福島高校の授業で講演をしたりフランスの高校との交流活動でアドバイザーを引き受けたり同校と関わりが深い。「見学お断り」の東電に対し「法的根拠があるのか」と詰め寄って内規による自己規制であることを確認させた。今回の見学会にも参加した。また原発事故後の放射線影響について考える本「知ろうとすること。」(新潮文庫)を早野教授とともに書いたコピーライターの糸井重里氏も加わっていた。

■高校は放射線量より「あらぬ意図を疑われるリスク」を危惧

敷地内でいちばん目立つのは汚染水や浄化済みの水をためるタンクの群れ
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敷地内でいちばん目立つのは汚染水や浄化済みの水をためるタンクの群れ
 高校側が見学に踏み切るうえで最も気にかけたのは放射線ではない。別の機会に視察を経験した教員がおり線量は問題がないと確認していた。むしろ「生徒たちを連れて行くことに(教育以外の)他の意図があるのではないかと思われるリスク」(原尚志教諭)を心配した。見学が東電の安全の宣伝に利用される可能性や、宣伝に利用されたと非難する声が上がることがリスクだと考えた。

 福島高校は文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けている。事故後にグラウンドの放射線量を測りフランスの高校との交流活動で結果を発表するなど独自の教育に取り組んできた。故郷の未来を考えるうえで避けて通れない廃炉や除染についても勉強してきた。学んだことを実地で確かめたいという純粋な気持ちが生徒にも先生にもあるだろう。しかし当事者の意図とは別に「宣伝」リスクは確かにある。

 見学に参加した大河内綾奈さんは「両親は最初心配したが、多くても胸のレントゲンくらいの線量だと伝えて、それならと許してもらった」と話す。松本陽菜乃さんは「福島のことを他の人に伝えるうえで現場を確かめたいと思った。両親には今の線量は健康に問題ないと話して説得した」と言う。

 沖野峻也くんは「敷地内はもっとごちゃごちゃして空も見えない場所かと思っていたが、きれいに整頓されていた。持ってきた線量計で測ったら高い場所もあれば低い場所もあるとわかった」と話す。全員が学校などから線量計を借りてきて見学中に測っていた。その結果は「来年3月にフランスで開く国際会議で生徒たちが発表する予定」(原教諭)という。

 福田翔くんは「事故が起きた時は小学校4年生で放射線が人体に与える影響について考えたこともなかった。中学に入るころから意識し勉強するようになった」と言う。

■高校生「自分で確かめ福島の現状を国内外に伝えたい」

原子炉に近い場所では今なお全面マスクを付けての作業が進む
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原子炉に近い場所では今なお全面マスクを付けての作業が進む
 福島に対して、誤った思い込みや偏見が絶えない。高校生たちは自分たちで事実を確かめ、自分たちが知る福島の現状を国内外に伝えようと努めている。見学もその一環で生徒たちが望んだことだという。

 質疑応答の時間では、燃料デブリ(溶け落ちた燃料)や汚染水、地域の復興に関する質問が生徒たちから出たが、特に興味深かったのは「もし東電が破産したらどうなる」という問いかけだった。

 石崎代表の答えはおおむねこうだった。

 「東電は福島のため、事故の責任を果たすため生かされている。国からお金を借りて賠償金を払っている。6兆円を超すが、毎年利益を上げて返していく約束だ。廃炉や除染はトータルでいくらになるか、わからない。全部で10兆円はかかるだろう。東電を潰せばいいと言う人がいるが、東電がやらなくて他の誰がやるのだろうか。そのために3万3000人の社員が頑張っている」

 廃炉カンパニーの増田社長はこう答えた。

 「廃炉を安全に進めて住民の帰還を阻害しないようにしたい。必要なお金は用意する。(東電グループの)送電や小売会社から利益を回してもらっている。廃炉が進まないと復興は進まない」

質疑には視察の仲介役になった東京大学教授の早野龍五氏(中央)やコピーライターの糸井重里氏(左)も加わった
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質疑には視察の仲介役になった東京大学教授の早野龍五氏(中央)やコピーライターの糸井重里氏(左)も加わった
 事故後に大急ぎで政府が作った東電再建のスキームは今、破綻しかけている。廃炉、賠償、除染に必要な費用が積み上がり、東電は見ようによっては債務超過の状態にあるともいえる。現実には、電力自由化・競争市場の中で東電グループが稼ぎ出す利益だけでは費用を賄っていけそうもない。

 そこで資源エネルギー庁は賠償費用などをすべての電力会社が分けあって負担する仕組みを検討している。つまるところ国民全体が電力料金の一部として原発事故の後始末の費用を負担するという話だ。高校生の質問はいいところを突いている。石崎代表らも現時点ではこう答えるしかない誠実な回答だろう。

■糸井重里氏「足りないもの補う通訳ではなく、面白いイノベーターに」

 高校生は糸井氏にも質問を投げかけた。放射線など難しい問題で、糸井氏は専門家と素人の間をつなぐ「通訳」だと自分の仕事を位置付けているのか、と問うた。糸井氏の答えも印象深いものだった。

 「コミュニケーションがうまくて『通訳』できる人はたくさんいると思う。でも(納得するには)だれが話したか、その話が自分にとって望ましい未来とどうつながっているかが大切だ。コミュニケーションが上手なら必ずうまくいくとは限らないと強く認識している。私はどちらが正しいとか、どうすべきかではなく、こういうやり方もある、こうやって関われば面白いよと思える関わり方をしたい。足りないものを補う『通訳』ではなく面白いイノベーターを増やしていくほうがいい」

 その日、廃炉の現場を見た高校生たちが将来、故郷に活力をもたらすイノベーターになると期待したい。

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