2008年3月9日(日) 江戸東京博物館で開催中の「天璋院篤姫展」を見た。

ご存知NHK大河ドラマとのリンク企画である。 企画展示と常設展示で1,440円(篤姫展だけなら1,200円)だった。
イヤフォン案内(使用料500円)があり、幾島こと松坂慶子さんが、30分ほどのガイドをしている。
まだ百数十年前のことなので、結構膨大な資料が残されているようだ。
展示されているのは極一部だろうと思うが、島津斉彬の密書や、篤姫が“倒幕軍”隊長すなわち西郷隆盛に宛てた手紙など、さまざまな書簡が展示されていた。 また、篤姫所用の家具調度や着物なども数多く展示されていた。
宮尾登美子さんは、これらの膨大な公文書や手紙類を読みこなして、あの小説「天璋院篤姫」に再構成したのであろう。
統幕の動きが強まる中で、篤姫は和宮と協力して徳川家存続のために力を尽くし、その甲斐あって小藩ながら徳川家を繋いでゆくことができたようである。
薩摩の篤姫が嫁いだ第13代将軍・徳川家定は、結婚後1年7ヶ月で早世してしまったし、和宮(天皇の妹)が嫁いだ第14代将軍・徳川家茂は、長州征伐に出向いた大坂城で僅か20才で早世した。 いずれも病死と言うことになっているが、毒殺されたという疑いも色濃く残されている。 宮尾登美子さんの小説では、家茂の死因として、一橋慶喜(“最後の”将軍徳川慶喜)が企てた「砒素による時間を掛けた毒殺」の疑いを篤姫に推測させている。 そして家定も同じように慶喜に殺害されたのではないかと描いている。
篤姫も和宮、いずれも、世継ぎ(継嗣)を授かることなく、院号を受けて『出家』する訳である。
そのような似通った境遇が、最初はすれ違っていた心を急速に近づけて、徳川家存続のために協力したと思われる。
篤姫は薩摩藩を中心とする討幕軍に対して、和宮は「倒幕の密書」を出したといわれる(薩長による偽造との疑いが今も残っている)天皇家に対して、渾身の訴えと働きかけを行うのである。
この訴えが功を奏して江戸が火の海になることだけは、ようやく避けられたのである。
その辺の事情が良く解るように展示されている。
日曜日とあって観客は極めて多く、どの展示物の前も動きは極めてゆっくりで大渋滞。 動きが鈍い理由の一つは、殆どの文書資料にその一部の日本語口語訳が付けられており、多くの観客がこの口語訳を読んでいるからであった。 私も殆ど読んだ。 1時間くらいで「篤姫展」を見て、残り1時間で常設展示を見ようと考えていたのだが、結局「篤姫展」だけで3時間を費やし、常設展示は見る時間がなかった。
展示の最後のパネルは、徳川家当代頭首と島津家当代頭首の御挨拶が並べられていた。
単に、「大河ドラマ・タイアップ企画」の“話題性”の展覧会と言えないほど、内容の充実した良い展示会であったと思う。
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4月6日(日)まで、JR総武線・地下鉄半蔵門線「両国」駅前 【江戸東京博物館】 にて (月曜日休館につき御注意) ここをクリック
関連Webサイト 篤姫.net
公式ホームページより引用
薩摩藩主島津家の一門に生まれ、ペリー来航に揺れる幕末の動乱期、21歳で徳川13代将軍家定に嫁いだ篤姫。夫の急死後、若き14代将軍家茂の養母として、その妻和宮とともに江戸城大奥をとりまとめます。やがて訪れた戊辰戦争時には、江戸城に迫る西郷隆盛ら新政府軍に働きかけ、江戸城の無血開城に大きな役割を果たしました。 この展覧会は、NHK大河ドラマ「篤姫」と連動するもので、篤姫と彼女をとりまく人びとゆかりの品、江戸城大奥の華麗な調度、幕末の騒乱を伝える歴史資料などで構成し、篤姫の波乱に満ちた生涯をたどります。
展覧会音声ガイドのナレーションが松坂慶子さんに決定! 大河ドラマ「篤姫」で、教育係として篤姫と運命をともにする女性・幾島を演じる松坂慶子さん。大河ドラマでの役柄そのままに、音声ガイドで展覧会の見どころ、篤姫の波乱の生涯を語ってくださいます。 幕末の動乱期、篤姫の無二の戦友として江戸城に仕えた幾島、彼女が命がけで西郷隆盛のもとへ届けた書状とは・・・?!展覧会とドラマ、2つの魅力を楽しめる音声ガイドをぜひ会場でお試しください。
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