観劇レビュー&旅行記
【観劇レビュー&旅行記】を中心にFC2上で、私も思いを気の向くままに書いてゆきます。 政治・時事評論は 【JUNSKY blog 2016】 に引続き運用します。リンクの一番上に記載しています。


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MET オペラ LIVE 今シーズン第2作 第1作に続いて再びベルディの 【オテロ】
2015年11月14日(土)

 今日から1週間、福岡では中洲太洋劇場にて MET オペラ LIVE
 ベルディの 悲劇オペラ 【オテロ】 が上映され、今日見て来ました!

Otello_img_3.jpg


 原作は、あの有名なW.シェークスピアの悲劇 【OTHELLO】
将軍オテロの座を奪おうとするイアーゴの策謀にまんまと
引っ掛かるオテロの無様さが、このドラマのテーマであるが
それが、オテロの妻・デスデーモナに対する溺愛の裏返し!


   (映像は、公式サイトよりシェア)


 前半、デスデーモナは赤い胸の空いた衣装で胸の谷間を強調!
 ついついそこに目が行ってしまうので、困った (^_^;) !

   (映像は、公式サイトよりシェア)

 可愛さ余って憎さ百倍で、オテロはデスデーモナを殺害。
その直後、イアーゴの妻が真相を明かす。

 デスデーモナと密通しているとされるカッシオもデスデーモナも
全く知らないデッチ上げ。

 しかし、イアーゴ自らは、カッシオとデスデーモナが密通している
とは一切言わず、オテロがそう信じ込むように暗示を掛けるのみ。



   (映像は、公式サイトよりシェア)


 疑心暗鬼が次々と事態を深刻にしてゆくという例証みたいなもの。

 シェークスピアやベルディが描きたかったのも、そこでしょう。

    ****************

 MET-Live-Viewing では、上映前に写真で配役の紹介があるが、
実際のオペラでは、そういう紹介は無い(プログラムを買えば解るが)。

 しかし、ベルディは歌の中で他己紹介と言うか相手に対する呼び掛け
(普通の生活では、そういう呼び掛けはあまりないと思うが)を織り込む
ことで、歌の中で誰が何の役を演じているのか解るようにしている。

 中々工夫した呼び掛け方だった。

 その配役の皆さん(下記)は熱演且つ上手い! 

 役 名 :  配    役  (出身地)
オテロ : アレクサンドルス・アントネンコ(ラトヴィア)
イアーゴ : ジェリコ・ルチッチ(セルビア)
デスデーモナ : ソニア・ヨンチェーヴァ(ブルガリア)
カッシオ : ディミトリー・ピタス(アメリカ)
ロドヴィーゴ : ギュンター・グロイスベック



 MET-Live-Viewing では、『お宝映像』 (舞台裏の転換とか)が休憩中に
上映されるが、今回は、Live-Viewing を支える撮影チームとディレクターに肉薄!

 クローズアップ手法や「引き」などの効果。 カメラ切り替えのキッカケの設計と指令
などが紹介されていて興味深かった!

 それが中入りで紹介されたので、後半はカメラワークが気になって・・・

 撮影チームの努力と奮闘が背後に感じられてしまいました!

 演出では、紗幕に嵐の映像などをプロジェクションしながら、徐々に舞台側を
明るくして転換する手法が活用されていました。
 紗幕の演出を初めて見る人々には意外性のある演出でしょう!



   MET-Live-Viewing 【オテロ】公式サイトより 

 新婚の幸福に酔う英雄はなぜ破滅したか?劣等感と嫉妬心を隠し持つ勇将オテロを待ち受ける部下イアーゴの奸計!シェイクスピアの傑作悲劇を音楽化したヴェルディ晩年の名作が、新演出で登場!
 嵐吹きすさぶ冒頭の大合唱からオテロの辞世の絶唱まで、息もつかせぬ音楽ドラマはまさにオペラの醍醐味。
 A・アントネンコの豪胆にして劇的な声が、Y・ネゼ=セガンの熱い指揮が、B・シャーの鮮烈な演出が、大傑作に新しい生命を吹き込む!
 15世紀末、ヴェネツィア共和国が支配するキプロス島。トルコ軍を打ち破ったムーア人の将軍オテロが、嵐を突き抜けて帰還する。彼の帰りを待ちわびていた新婚の妻デズデーモナと、甘い夜を過ごすオテロ。だがオテロに恨みを抱き、復讐の機会をうかがう旗手イアーゴは、デズデーモナがオテロの部下カッシオと密通しているという嘘をでっち上げ、オテロの猜疑心を煽る。イアーゴの巧みな罠にかかり、デズデーモナに疑いの目を向けるオテロは次第に追い詰められてゆき・・・。 



究極の愛が染めたガラスの宮殿
 〜名作に新風を吹き込んだ若きスターたち 《オテロ》みどころ

 加藤浩子(音楽評論家) - 2015年11月6日金曜日
 

   Movie Walker による作品紹介 

 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)で上演されるオペラを5.1chサラウンドの音響や10台以上のHDカメラを駆使し撮影、舞台裏の模様も盛り込み上映するシリーズ。
 本作では、第62回トニー賞を受賞したバートレット・シャーの新演出により2015年10月17日に上演される、奸計により破滅していくムーア人の武将を描いたシェイクスピアの悲劇を下地にしたイタリア・オペラの巨匠ヴェルディ晩年の傑作を収録。ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団やフィラデルフィア管弦楽団などの音楽監督を務めたヤニック・ネゼ=セガンの指揮のもと、テノール歌手アレクサンドルス・アントネンコがドラマティックな歌声を響かせる。 

********************
 原 題 : OTELLO - VERDI
 製作年 : 2015年
 製作国 : アメリカ
 配 給 : 松竹
 上映時間 : 210分
 演 出 : バートレット・シャー
 指 揮 : ヤニック・ネゼ=セガン
 MET上演日  : 2015年10月17日
********************


【あらすじ】
15世紀末。ヴェネツィア共和国統治下にあるキプロス島に、トルコ艦隊を打ち破ったムーア人の提督オテロが嵐吹きすさぶ中戻ってくる。妻デスデーモナと結婚したばかりのオテロが甘いひとときを過ごす一方、旗手イアーゴは奸計をめぐらしオテロにデスデーモナがオテロの部下カッシオと不義を働いているように思い込ませる。猜疑心の虜となったオテロは次第に追い詰められていく……。  



    ******************

【今日の運動】 
 今日のスポーツクラブ 【ESTA】 での運動は・・・
 水中歩行 :500m
 水泳 断続 :700m クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライ・平泳ぎ・バタフライ 各100m

  『香椎ESTA温泉』 で、今日はシャワーのみ。
 歩数計::4300歩



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究極の愛が染めたガラスの宮殿
〜名作に新風を吹き込んだ若きスターたち 《オテロ》みどころ

加藤浩子(音楽評論家) - 2015年11月6日金曜日
  

 《オテロ》は、互いを愛しすぎたカップルの悲劇である。そう思えたのは、今回の映像がはじめてだったかもしれない。

  「オペラ王」ジュゼッペ・ヴェルディが晩年に完成させた《オテロ》は、シェイクスピアの悲劇をオペラ化した究極の心理劇だ。将軍オテロは、自分を恨む部下のイヤーゴの奸計にかかり、溺愛する妻デズデーモナが不倫をしていると信じ込む。《オテロ》は優れた演奏で聴くとあっという間に終わってしまうオペラだが、それはすべての音符がドラマと結びつき、最初から最後まで緊張感が続くからだ。追い詰められていくオテロを、たたみかけるように追い、威嚇する音楽。それは奇跡的で、残酷だ。

  《オテロ》というオペラは、デズデーモナが犠牲者だと感じることが多い。だが今回感じたのは、オテロもデズデーモナも犠牲者だということだった。ムーア人(黒人)という設定のオテロ役が、今回の演出では白人で、その分(もともと白人の)デズデーモナと平等だと感じられたこともあるだろう。通常オテロはムーア人であるがゆえに劣等感を持つと解釈されるが、別にムーア人でなくとも劣等感がなくとも、愛に不安を抱いた男は破滅しうる、そう思い知らされたのは新鮮だった。


 新しい発見をさせてくれた大きな理由が、オテロ役のA・アントネンコと、デズデーモナ役のS・ヨンチェーヴァの素晴らしい演唱にあるのは間違いない。

 21世紀の「オテロ歌い」の期待を担うアントネンコは、この役にふさわしい悲劇的な響きと直情的なパワーをはらんだ声で、一本気で不器用な武将の転落を演じきった。一方のヨンチェーヴァは、今回がデズデーモナ役のデビューとは信じられない卓越した歌唱。ピュアで伸びやかで、感情のあらゆるニュアンスを映し出す声を武器に、「強い女性」(本人談)であるデズデーモナを芯の通った女性として描き出し、オテロへの愛ゆえに滅ぶ彼女の潔さをまっすぐに伝えて心を打った。これほど共感できるデズデーモナを、筆者は体験したことがない。

 若々しい2人に対峙するベテラン、Z・ルチッチによるイヤーゴは、ヴェルディが理想とした「悪人らしくない」イヤーゴそのもの。普通の人間に見えてその実冷酷で無関心という究極の悪人を巧みに表現した。

  Y・ネゼ=セガンの指揮は、《オテロ》ならではの緊張感を保ちながらも、〈愛の二重唱〉など人間的な部分は繊細に聴かせるなどバランス感覚に富み、ある意味理想的な音楽作り。《オテロ》は指揮者が中心になりがちなオペラだが、ネゼ=セガンは歌手も生かして成果をあげていた。彼と歌手たちの幕間のリハーサル風景からも、今回のキャストのチームワークがよかったことが感じられた。

 B・シャーの演出は、オテロの心に見立てた「ガラスの宮殿」を舞台上に出現させ、波の映像の投影や照明で変化をつける、大がかりだがシンプルなもの。冷たい手触りの宮殿が、主役たちの心の炎や痛みにあわせて赤やオレンジに燃え上がる。それを目撃するたび、オテロやデスデーモナへの共感が沸き起こる。心を大胆に抽象化、具現化したことで、ドラマへの没入はかえって容易になった。《オテロ》という作品の普遍性をあぶり出したプロダクションになったと思う。名作に新しい姿を与えたMETの《オテロ》、必見である。
 




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