2015年3月22日(日)
きのう、福岡市中央区の KBCシネマ で 【おみおくりの作法】を見たあと そのすぐあとに上映される フランス映画(と思う) 【パリよ永遠に】 (原題 Diplomatie ; 外交交渉) を見ました。

エッフェル塔も、オペラ座も ヒトラーはすべてを燃やし尽くしたかった。 しかし、パリは守られた。 そこには何があったのか。 が『キャッチコピー』
 こちらはKBCシネマ内の 【パリよ永遠に】 の 掲示板
フランスで上演され大ヒットになったと云う 舞台演劇 “Diplomatie” を映画化したもの。
背景にはパリをドイツ軍から守ろうと活動したレジスタンス運動とナチスによる破壊活動 があるのですが、映画にはレジスタンス運動の『地下活動』や戦闘の様子は描かれません。
ナチスが街並みや歴史的建造物を破壊する様子は冒頭の「実写映像」だけです。
映画の中心は、中立国スウェーデンの外交官が、パリの美しい街並みを守ろうと ドイツ軍のパリ進駐将軍との駆け引きの場面です。 映画の殆ど8割方が交渉(駆け引き)の話術場面です。

ドイツ軍将軍は、パリに派遣される際に、ヒットラーの命令に背いた場合は 家族皆殺しにされるとの『法律』に拘束されています。
この法律は、直前に発覚した『ヒットラー暗殺クーデター』(映画にもなった) により部下不信に陥ったヒットラーが部下が背叛しないように作ったもの。
映画 【ワルキューレ】 ヒットラー暗殺計画 【観劇レビュー&旅行記】 - 2009年3月23日(月)
従って、「パリの街並み全てを瓦礫になるまで破壊し尽くせ」 と云う命令に 従うのが表向きは軍人の務めであり、実情は妻子を殺されたくないと云う 個人的願望によるものである訳です。
これに対し、総領事は妻子を安全に避難させるという条件交渉を行うなど 口八丁手八丁で将軍を説得し(追い込み)ます。
そういう 「対話劇」 の映画化でした。

パリの主な歴史的建造物が破壊されなかったことは、この映画で初めて知りました。
一方、私が2009年に行ったポーランドのワルシャワでは、歴史的建造物も含めて 殆どの建造物が瓦礫にされたのです。 その時にガイドに聴いた話では、空爆によって破壊されたのではなく、ナチスが 建造物に爆薬を一つひとつ仕掛けて爆破していったとのことでした。
【関連ブログ記事】 【ポーランド + α 気まま旅】 当ブログ 【観劇レビュー&旅行記】 - 2009年9月21日 ~ 30日
この映画でも、同じように爆薬が個別に仕掛けられていたことが解ります。

起爆装置の回線がレジスタンスによって切断されたので第一撃が阻止され、 この映画(対話劇) にある二人の駆け引きが始まるのです。 そういう意味では、レジスタンス運動がパリの街並みを守ったとも言えるのです。 しかし、そういう処は強調されず、対話劇を見せるのが中心テーマでした。
在仏スウェーデン総領事・ノルドリンク を演じた アンドレ・デュソリエ さんと ナチス軍パリ進駐将軍・コルティッツ を演じた ニエル・アレストリュプ さんは、 舞台演劇でもこの役を演じたフランス人で、慣れ親しんだ相棒だそうです。
演劇ではどうだったかは解りませんが、映画ではフランス語とドイツ語が 状況により使い分けられます。 将軍が部下や使用人に指示するところはドイツ語、総領事との駆け引きは フランス語(実在の将軍がこれほど流暢にフランス語を話したかどうかは不明)
上映時間は1時間半も無かったようですが、相当長く感じられました。
観客は、30人ほどだったでしょうか(数えた訳ではありませんが)
公式サイトによる作品解説 映画『パリは燃えているか』でも知られるエピソードを一夜の出来事に凝縮した原作は、フランスで大ヒットした シリル・ジェリー作の舞台“Diplomatie”。 ドイツ人でありながらフランスで映画監督として研鑽を積んだ名匠フォルカー・シュレンドルフ監督が、ジェリーとともに共同脚本を手がけ映像化した。 シュレンドルフの前作『シャトーブリアンからの手紙』と同様、今作も「仏独の和解」が隠れたテーマになっている。 主演は、総領事ノルドリンクに故アラン・レネ監督の常連俳優でもあるアンドレ・デュソリエ、司令官コルティッツには近年ますますいぶし銀の魅力を放つニエル・アレストリュプという二人の名優。舞台から続く名コンビで、物語もキャラクターも熟知した二人だからこその掛け合いはまさに必見。シュレンドルフは、時にスリリング、時にウィットに富んだ駆け引きを、緩急自在、緊張感みなぎる見事な演出で紡いだ。 さらに、エンドロールでパリに愛されたレビューの女王ジョセフィン・ベーカーの「二つの愛(J’ai deux amours)」が流れる時、この史実こそが歴史に刻まれた最も感動的なパリへのラブレターなのだと気づくだろう。
もしも、「パリ」がなくなっていたら――? 戦後70周年を迎える2015年に、かつて戦争によって岐路に立たされた「パリ」に思いを馳せ、この運命の一夜のおかげで現在のヨーロッパ、そして世界があることへの感謝があふれてくる、それが『パリよ、永遠に』である
原題 : Diplomatie 上映時間 : 83分
【ストーリー】 エッフェル塔も、オペラ座も ヒトラーはすべてを燃やし尽くしたかった。 しかし、パリは守られた。 そこには何があったのか。
第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツ占領下のフランス。 この日、エッフェル塔も、オペラ座も、ノートルダム大聖堂も・・・パリの象徴でもあり、世界に誇る美しき建造物はすべて、爆破される運命にあった。アドルフ・ヒトラーによる「パリ壊滅作戦」が今まさに実行されようとしていたのである。かつてパリを訪れたヒトラーは、一瞬にしてこの街の美しさの虜となった。戦時下のベルリンが廃墟と化した今、パリの美しさが許せない。ドイツの敗北は時間の問題だったが、ヒトラーは嫉妬ゆえに破壊を命じたのだ。しかし、最後の最後で、パリは生き残った。 そこには、パリを守るために一世一代の「駆け引き」に出た一人の男の存在があった。
ヒトラーにパリ壊滅作戦を命じられたドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツと、パリで生まれ育った中立国スウェーデン総領事ノルドリンク。物語は、ノルドリンクがコルティッツを思いとどまらせようと、ドイツ軍が駐留するホテル ル・ムーリスの一室を訪れるところから始まる。正攻法では説得は成功しない。相手の懐を探りながら押したり引いたり…ひとつの仕草さえも「駆け引き」だ。時には誠心誠意の愛情を込めた巧みな心理戦。ノルドリンクの外交術こそ、この映画の醍醐味であり、アクション映画とは違ったスリルを存分に味わえる。
【キャスト・スタッフ】 肩 書 き ・ 役 名 : 配 役 在仏スウェーデン総領事・ノルドリンク : アンドレ・デュソリエ ナチス軍パリ進駐将軍・コルティッツ : ニエル・アレストリュプ
監 督 : フォルカー・シュレンドルフ 原 作 : シリル・ジェリー “Diplomatie” 脚 本 : シリル・ジェリー、 フォルカー・シュレンドルフ 撮影監督 : ミシェル・アマテュー セットデザイン : ジャック・ルークセル

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テーマ:フランス映画
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