2014年7月5日(土)
日本経済新聞によると、2020年オリンピック迄の開城を目指して 江戸城本丸・天守閣を 木造で再建しようという計画が持ち上がっているようです。
 江戸城の再建イメージ (日本経済新聞より;NPO法人「江戸城天守を再建する会」提供)
江戸城の再建費用350億円 「木造」観光立国の夢 (日本経済新聞)- 2014年7月5日(土) 7:00
記事によると、江戸城・天守閣は1657年の明暦の大火で炎上して以来、再建されていないようです。
350年も前に焼失した天守閣を、当時と似た工法の木造で再建しようと云う声が 有志の中から持ち上がっているとのこと。
鉄筋コンクリートなら、せいぜい100年ももたない処を、木造なら1500年も維持できるらしい。
第二次世界大戦などで、消失し戦後鉄筋コンクリートで再建された 『観光城』や『博物館城』も そろそろ耐用年数が切れて、再・再建の時期に差し掛かっているらしく、その先鞭を木造で やろうと云う話しです。
 再建する会に参加したパティシエの細内進さんは、 天守台の残る江戸城天守閣の跡地に足しげく通う (日本経済新聞より)
福岡市でも、阿呆の高島市長が、実在したかどうかも不明な 『福岡城天守閣』 を建設しようと 言っていたことがありましたが、立ち消えになっているかのようです。
福岡市 福岡城、復元 「天守閣も!」 当ブログ - 2012年8月18日(土)
今年(2014年)は、NHK大河ドラマ 【軍師官兵衛】 が取り上げられ、福岡藩の盟主・黒田官兵衛が 話題になり、博多山笠でも取り上げられ、街中 『官兵衛ブーム』 と云う、『絶好のチャンス』ですが、 この2年前の 『福岡城・天守閣建設』 の話は話題に登ってこないので、立ち消えになった可能性も・・・

江戸城の再建費用350億円 「木造」観光立国の夢 (日本経済新聞)- 2014年7月5日(土) 7:00 東京五輪に合わせて、江戸城の天守閣を再建しよう――。こんな計画を市民団体が中心になって進めている。高層ビルに囲まれた皇居の森に天守閣がそびえ立つ。計画には賛否もあるし課題も多いが、この構想は日本人自身もあまり気付いていない「眠れる資源」が存在していることを教えてくれる。
■名古屋、熊本城再建は鉄筋コンクリート
構想を進めているのは、認定NPO法人「江戸城天守を再建する会」(東京・千代田)。元JTB専務の小竹直隆氏が理事長を務め、会長は江戸城を築いた武将、太田道灌の18代子孫にあたる太田資暁氏だ。
1657年の明暦の大火(振り袖火事)で炎上した天守閣を、現存する「建地割図」(城の断面図)を基に再現しようと活動している。台座を含めて高さ59メートルの5層構造。高さは姫路城(兵庫県姫路市)の2倍、体積では3倍で、木造建築として国内最大級となる。
再建に慎重な意見のなかには、皇居を見下ろすことへの懸念が多い。だが、皇居側の窓はもともと上向きにしか作られていなかったそうだ。気になるのは、やはりコスト。再建には長さ5メートルで35センチ角のヒノキが1000本必要となる。高級なヒノキを使えば、当然コンクリートより割高になるはず。伝統建築に詳しい広島大の三浦正幸教授に聞くと、意外な答えが返ってきた。
戦後、1960~70年代の城郭再建ラッシュでは、名古屋城や熊本城など30余りの天守閣をすべて鉄筋コンクリートで作った。高度成長期のさなかで文化財を復元するという意識は低く、もともと存在しなかった天守閣を“復元”したものもある。なにより戦火の記憶が生々しかったため、「燃えない」という理由を優先した。この「鉄筋コンクリート・バブル」は住居も同じ。国土交通省の推計によると、全国で現在1万戸にすぎない築50年超のマンションは、10年後に32万戸、20年後には129万戸に急増する。
■木材は値下がりで「復権」
その裏側で起きたのが木材の値下がりだ。国産材は需要減に輸入材の流入が加わり、ヒノキの素材価格は80年の1立方メートルあたり7万6400円のピークから2013年には1万9700円まで74%も下落した。鉄筋に使う異形棒鋼が足元1トン6万5千~7万円で80年とほぼ同水準なのと対照的だ。日本の山には、100年以上前に植えられて二酸化炭素(CO2)も吸わなくなったヒノキが眠ったままになっている。三浦教授によれば、天守閣の建築には高級ヒノキを使う必要もないため、もはや木造も鉄筋コンクリート造並みの費用だという。
「木材の復権」はじわりと進んでいる。50年を経てコンクリートが耐用年数を超え、天守閣も住宅も、建て替え需要がこれから本格化する。全国の官公庁庁舎などは木造での再建が増えているし、天守閣も名古屋城など全国で木造への切り替えが議論されている。
大手町のビル群を望む江戸城の天守台の上には外国人観光客の姿も 鉄筋造は火事でも燃え残るというが、内部の鉄筋が熱で損傷すれば建て替えが必要になる。問題は燃え崩れるかどうかではなく、火熱に耐える「耐火時間」だが、木造も決して劣っていない。耐震性も同様で、再建した江戸城はシミュレーションでは震度7まで耐える。耐用年数は1500年と、コンクリートの50~80年に比べて格段に長い。こうした日本古来の木造技術を受け継ぐ宮大工の存続・育成も、江戸城再建計画の狙いの一つだ。
日本都市計画学会が試算した江戸城天守閣の建設費用はざっと350億円。ちなみに東京スカイツリー建設では、PR費用を含めた総事業費が約650億円(周辺の商業施設部分を除く)だった。「再建する会」は個人や法人の寄付金を活用する考えだが、決して小さな金額ではない。では、再建が日本経済にもたらす効果はあるのだろうか。
今も皇居の北桔橋門近くに残る天守台。その付近を歩いてみると、意外なほど多くの外国人観光客が訪れていることに気づく。東京メトロ東西線の竹橋駅から徒歩5分。巨石を積み重ねた台の上部にはベンチが置かれているだけ。すぐ隣の大手町で働くサラリーマンでも足を延ばす人は少ないが、「江戸」を感じたい外国人には特別な魅力があるのかもしれない。
■「日本文化伝える首都のシンボル必要」
「外から日本を見た経験があるから、この計画は必要だと思ったんです」。天守台で待ち合わせた老舗洋菓子店のオーナーシェフ、細内進さん(74)は、再建する会に参加した理由をこう語った。記憶に鮮明に残っているのは、20代にスイスやフランスで修業した際の体験だ。日本の文化を伝えようと現地の人に見せた絵はがきは、法隆寺や清水寺と関西の史跡ばかり。相手が持つ日本のイメージはゲイシャやフジヤマのままだった。「首都である東京に日本文化を伝えるシンボルが必要だ」と痛感した。
パティシエの細内進さんは、天守台の残る江戸城天守閣の跡地に足しげく通う 東京タワーやスカイツリーはあっても、東京にはかつて世界が憧れた江戸時代の文化を伝えるランドマークがない。同じように史跡を失った海外の国には、「首都アイデンティティーの確立」を掲げてベルリン王宮を再建中のドイツや、ワルシャワの旧市街を再現して世界遺産に登録されたポーランドのような取り組みがある。
「工業立国、農業立国、貿易立国などとやかましく叫んで、多くの金を費やした」、「観光立国こそ、わが国がもっとも適しているものに、その基礎を置いている」。経営の神様、故松下幸之助氏が雑誌『文芸春秋』に論文「観光立国の弁」を載せたのは1954年のことだ。
それから60年。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長の試算によれば、2013年度の観光関連産業は、名目GDPの3.5%を占める16.7兆円。輸送機械(16.5兆円)や電気・電子産業(14.9兆円)を上回る。今年4月の旅行収支は44年ぶりに黒字に転換。観光振興の重要度は年々高まっている。
10万人以上の犠牲者を出した明暦の大火の後、4代将軍家綱の補佐役として復興を指揮した会津藩主の保科正之は、「今は町家の復旧に力を入れるべきだ」と江戸城天守閣の再建を諦める英断を下した。それから約360年。成長戦略として観光立国を目指すなか、木造技術という日本文化の広告塔として江戸城天守閣の再建計画が必要かどうか。固定観念を捨てて考える時期が来ているのかもしれない。
(日本経済新聞・商品部 高見浩輔)

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