2013年11月3日(日)
番組は 【至高のバイオリン ストラディヴァリウス】
の音の秘密に迫る と云うものでした。
 アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari、1644年 - 1737年12月18日) を描いたものとされる最も有名な絵画 (引用元 Wikipedia)
様々な「科学的検証」 の取り組み も紹介されました。
一つは、NHK技研の無響室で、42方向にマイクを設置して、20世紀に製作されたバイオリンと
ストラディヴァリウス の 「音」 を比べると云うものでしたが、結果は、「指向性」の面で、
ストラディヴァリウスの方が「多少鋭い傾向がある」と云うだけでした。
無響室で演奏している 徳永二男さん  NHK・公式サイトより
「音色」など本来の特性については、今後の研究課題と云う話でした。
もう一つは、CTスキャナーで細部に亘る構造を調べるというもので、「魂柱」を境に
ボディの重さや容積が丁度2等分されていると云う絶妙なバランスが発見されたと云う結果。
音質・音色に関する結果は、「科学的」研究からは解らないようでした。
一方で日本のバイオリン職人によれば、響板を叩いた時の音の高さがどこでも同じように
板を削るのが重要であり、ストラディヴァリウスではそうなっている と云う話でした。
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音質の面では、製作者や演奏家など、バイオリンのプロ中のプロを集めて行われた
いわばクイズ形式での 「20世紀に製作されたバイオリン」 と 「ストラディヴァリウス」
の 「音」の聴き当てテストの結果、正解率は2割から5割 に過ぎず、
実際には、プロでも「聴き分け」はできない ことが明瞭になっていました。
しかし、『演奏家が自ら演奏する場合は違いが解る』 と紹介されます。
私の好きな 諏訪内晶子さん も出演して弾き比べをやり、ストラディヴァリウスの
表現力の多彩さ等 優位性について語っていました。
諏訪内晶子さんが使っているストラディヴァリウス・【ドルフィン】は、日本音楽財団から
貸与されているもので、おそらく本物だと思いますが、ある音楽家のお話では、
楽器に多額を投じることを厭わない日本の演奏家は、『贋作』製作者の恰好の「カモ」だそうで、
数多くの『贋作』ストラディヴァリウスが出回っていて、「表現力が豊かである」と、
『ありがたく』使っている有名演奏家も少なからず居るとのこと。
『贋作』でも、自らが「ストラディヴァリウスである」と信じていれば「表現力が豊かである」
と思う訳ですから、ストラディヴァリウスの「音が良い、表現力が多彩」と云うのは、
演奏家の思い込みに他ならないのではないか?!と私は思う処です。
NHKの番組では、『贋作』の話は出ませんでしたが、一人の製作者が長生きしたとしても
600本を超える「名器」を造れるはずはなく、子息も含む 「ストラディヴァリウス工房」
(今風に言えば)「 Stradivari & Sons 弦楽器製造所」で製作されたものでしょう。
幾ら90歳過ぎても製作していたとしても一人の職人の300年ほど前の作品が600本以上も
現存するとは思われません。欧州では、この間幾多の戦争や革命があった訳ですし・・・
工房で数千本とか数万本も作られていたなら、600本くらいは残っているでしょうが。
ストラディヴァリのネームバリューが先行して「音が良い神話」が使用者の気持ちに
変化を起こしているのではないでしょうか?
20代で製作した初期の習作までが、「良い音・優れた表現力」と言われるのも思い込みの領域?!
何億円も掛けて取引されると云うことそのものが、楽器の使命を逸脱しているし、
それがまた『贋作』を産み、結果的に『贋作』までが高額で取引されていると私は思います。
尤も『贋作』とは云っても、それ相応の水準の名器であることは間違いないようですが・・・
まさに、昨日見た「劇団四季」のミュージカル【はだかの王様】で、アンデルセン
が風刺している 「思い込み=集団催眠状態の危険性」 そのもののように思われます。
この「集団催眠状態」は、現在では、『TPP』や『NSC』等に対する政権与党や経済界の
多数派が陥っている『危険な病状』にも顕著に現れています。

NHK スペシャル 【至高のバイオリン ストラディヴァリウスの謎】 公式サイト
 番組レポーターのニューヨーク在住のバイオリニスト・五明カレン NHK・公式サイトより2013年11月3日(日) 午後9時00分~9時58分
史上最高の弦楽器とされる「ストラディヴァリウス」  NHK・公式サイトより
17世紀イタリアの天才職人アントニオ・ストラディヴァリが製作したバイオリンで、約600挺が現存する。1挺の値段はいまや数億円。現代最高の名手たちから今なお愛され続けている。しかし、その美しい音の秘密はヴェールに包まれたままだ。世界中の職人や科学者がなんとかその謎を解き明かそうとしのぎを削っているが、今もってその答えを見つけた者はいない・・・。
いったいストラディヴァリは楽器にどんな魔法をかけたのだろうか。自身もストラディヴァリウスを弾くニューヨーク在住のバイオリニスト・五明カレンさんとともに、“至高の楽器”に取り憑かれた世界中の演奏家・職人・科学者たちの300年にわたる伝説と挑戦を追う。

アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari、1644年 - 1737年12月18日) Wikipedia より 一部引用 1644年に生まれたとされているが、正確な誕生月日は不明。 1667年から1679年まで、ニコロ・アマティの工房で弟子として楽器の製作技術を学んだ。 1680年、クレモナのサン・ドメニコ広場(Piazza San Domenico)に工房を構えると、若くして楽器製作者としての名声を得た。 その生涯で1,116挺の楽器を製作したとされ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、マンダリン、ギターを含む約600挺が現存している。 ストラディバリの独創性はアマティの様式の変更を通じて発揮され、ばらつきのあった木の厚みをより厳密に制御し、ヘッドスクロールの概念を確立し、音色を締めるためのニスはより色濃くなった。 1737年12月18日、イタリアのクレモナにて死去し、サン・ドメニコのバシリカに埋葬された。
ストラディバリウスはヴァイオリニストや収集家の羨望の的であり、しばしばオークションにおいて高額で落札される。 現存する真作で最も高値をつけたのは2011年6月21日に1589万4000ドル(約12億7420万円)で落札された1721年製のストラディバリウス「レディ・ブラント」である。 それ以前は2006年に約4億円で競り落とされたものが最高記録だった。また、1699年製(愛称不明)が2億1700万円で落札されている。 日本人では高嶋ちさ子がルーシーを2億円で購入、千住真理子がデュランティを2-3億円(正確な金額は非公表)で購入している。

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