2010年11月3日(水・文化の日)
名古屋で開催されていた【COP10】(生物多様性条約の第10回締約国会議)で、
先週、「名古屋議定書」 と 「愛知ターゲット」 が採択されました。
私のもう一つのブログにも書きましたが、
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生きもの名古屋議定書 全会一致採択で生物多様性維持の第一歩踏み出す 2010-10-31 16:07
種の「絶滅速度」は 恐竜絶滅期の千倍の速さ! 2010-10-13 18:00
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こちらには、メルマガの配信を受けている【河北新報】の社説を御紹介します。
概要と今後の課題が解りやすく書かれています。
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【河北新報 11月3日付け社説】 名古屋議定書/多様性保護の新たな出発点
生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)は、開催地名を冠した「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」を採択し、閉幕した。
今後は遺伝資源の配分ルールを定めた名古屋議定書、生態系の保全目標である愛知ターゲットに沿って、世界各国が地球上の豊かな生物資源をいかに保存していくか、その実効性が問われる。
焦点となったのは生物の遺伝資源が生み出す利益配分ルールの決定と、急速に失われつつある生物多様性を守るための国際目標の設定。それぞれ名古屋議定書と愛知ターゲットにつながるテーマだったが、ともに先進国と発展途上国の主張が対立し、交渉はもつれた。
とりわけ、遺伝資源の利益配分に関しては、アフリカ諸国などが植民地時代にさかのぼって利益を還元すべきだと要求。議定書採択が危ぶまれたが、議定書発効前に入手した資源の利益配分は除外することで歩み寄りが図られた。
一方、愛知ターゲットは高い目標設定を求める先進国側に対し、発展途上国側は高い目標が今後の開発の足かせになると警戒した。
最終的に「2020年までに少なくとも陸域の17%、海域の10%を保全する」などの数値目標を打ち出すことで、こちらも合意した。オランダ・ハーグの会議で決まった10年までの目標が抽象的だったのに比べれば、具体的な内容となった。
昨年末、デンマーク・コペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約の第15回締約国会議(COP15)では、新たな議定書の採択が見送られ、多国間交渉の難しさが浮き彫りになった。
今回の会議で大きな成果を上げることができたのは、コペンハーゲンの失敗を繰り返すまいと関係国が努力した結果であり、世界が危機感を共有できた証しでもある。
もう一つ、COP10に先立って開かれたカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)でも、遺伝子組み換え生物の被害補償ルールを定めた国際協定「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されている。
補足議定書は、04年のマレーシアでの会議から始まった議論がようやく合意に達したものである。困難を極めた一連の会議で、議長国・日本が果たした役割は大きい。
具体的なルール作りが進んだことはもちろん大きな前進だが、これまであまり知られていなかった生物多様性の大切さが、COP10開催を通じて広くアピールできた意義も大きい。
会議の結果、生物多様性を守る枠組み作りが前進したとはいえ、危機が目の前に厳然としてあることには変わりがない。
議定書の中身やターゲットが定めた内容には必ずしも十分ではない点もあるだろう。その点に関しては、豊かな自然を守り続けていくことの重要性を、わたしたち一人一人がしっかりと認識し、次のアクションを起こすことで補っていこう。多様性が失われることで最も損をするのは人類なのだから。
河北新報 2010年11月03日水曜日
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