2009年7月7日(火)
NHK教育 「知る楽」
裁判員制度を考えるシリーズ 「裁判員制度への道」 の第2回は、 国家か権利か 明治の相克 と題して、 陪審員制度を巡る ボアソナード(仏) と 井上 毅 の論戦を取り上げた。
また、その後で「爆笑問題の日本の教養」 通称“爆問学問”でも刑事訴訟法の専門家・後藤昭と爆笑問題が討論していた。
さらに夕方のNHKラジオ第一放送でもこの問題が取り上げられていた。
これら三つの番組に共通していたのは、「推定無罪」 の問題である。
職業裁判官は、警察・検察との長期に亘る馴れ合いから、「疑わしきは被告人の利益に」の意識が麻痺しているので、裁判員が入ることによって、この精神が少しは変わる可能性があるのではないか?
馴れ合いができなくなるのではないか? ということであった。
(ここまで書いて一度保存してから、この3倍くらいの文章を書き込んで保存しようとしたところ、「ただいまアクセスが集中しています・・・」 とのコメントが出て、これら追記した文が全て消えてしまった。 そのままの再現は不可能だが、大体の内容を書き直してみる。 やはり、ワープロソフトで書いてからUPするべきだね!解ってはいるのだが・・・)
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「陪審員制度」が検討されたのは明治も一桁の頃の話である。 明治政府が法律顧問としてフランスから招いたボアソナードは、当時本国では当たり前の制度であった「陪審員制度」の導入を強く奨めた。そして「疑わしきは被告人の利益に」の精神も導入しようとした。 しかし、時の明治政府は相次ぐ 『不平士族の反乱』(NHKの表現)に直面しており、反乱の首謀者たちを正規の裁判手続きを経ないまま死刑宣告し、即刻斬首・獄門(さらし首)という残酷な刑に処していた。 「陪審員制度」で、人民の意見が裁判に反映されるようになっては、このような処刑ができなくなり、『秩序』が保てなくなると考え、政府側代表の井上毅はボアソナードの提案に強く反対し退けた。
番組では紹介していなかったが、 明治5年に司法卿に就任した佐賀藩出身の江藤新平は、短期間にも関わらず、司法の独立を保証した三権分立の概念と三審制裁判制度を早くも確立し、地方にも今の地裁に相当する裁判所の設立を始めていた。 しかし、大久保利通の陰謀により【明治6年の政変=大久保利通によるクーデター】政権を追われ、身に覚えの無い「佐賀の乱」の首謀者に仕立て上げられ、冤罪で捕縛され、自ら構築した正式な裁判を受けることも無く、軍法会議のようなもので死刑宣告され、即刻斬首・獄門に処されたのである。
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“爆問学問”でも後藤昭教授は、「疑わしきは被告人の利益に」「無罪推定」の原則を強調された。 「裁判員制度」には、懸念される問題もあるが、国民が積極的に関与することによって、検察官と裁判官の長期に亘る馴れ合い体質(起訴された99.99%が有罪判決)を変える事ができるかも知れない。と積極面を強調された。
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時間は前後するが、夕方のNHKニュースは陪臣制度の専門家であり、最近のロシアの陪審員制度を調査してきた専門家(氏名不詳)が、ロシアと日本の裁判員制度を比較して論じていた。 その中で、裁判員として裁判に望む人への助言として、「疑わしきは被告人の利益に」の原則を強調され、「検察官や弁護人の弁論を聞いて、積極的に『無罪だ』と断定できる訳ではないが一方で『有罪だ』という決定をしかねると思ったら自信を持って遠慮なく『無罪』とするべきである。それが『、疑わしきは被告人の利益に』の原則である。 『有罪』との事実を証明できなかったのは検察官たち専門家の責任であって、裁判員の責任ではない。」 と説明されていました。
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陪席する職業裁判官がこの先生みたいな方なら裁判員もやり易いでしょうが、模擬裁判をネタに最近放映されている「裁判員制度」を取り上げたTVドラマでは、職業裁判官による裁判員の「誘導」が行われているようで、本当に 「疑わしきは被告人の利益に」「無罪推定」の原則が貫かれるのかどうか心配の残るところです。 ************************************ ランキングの応援をよろしく ⇒  ************************************
NHKの紹介文 国家か権利か 明治の相克 国民の司法参加は、ひとつの「権利」の実現とされる。実は、100年以上前に、日本でこの権利を実現しようと格闘したフランス人法学者がいる。明治維新後、裁判の近代化を目指す政府が、フランスから迎えたボアソナードだ。彼は国民が参加する裁判を当然のこととして、陪審制の導入を提唱した。しかし、日本政府の強い反発により、それはかなわなかった。フランス人法学者ボアソナードと陪審制反対派の中心人物・井上毅のやりとりを軸に、西洋と日本の法意識の激突を見つめる。
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