2009年7月5日(日)
福岡・天神ソラリアシネマの7月分サービス券をもらったので、 昨年公開された 中国映画 【三国志】 の再上映を無料で見ました。

【レッド・クリフ Part-1】 ではありません。
中国北京の映画公司を中心に、香港・韓国などが協力して制作しているようです。
主役は、【レッド・クリフ Part-1】 でも大活躍していた 趙雲子龍 です。 こちらの【三国志】では、「赤壁の戦い」は出て来ないが、劉備玄徳(りゅうび・げんとく)の子・阿斗(あと)を数万の曹操(そうそう)軍から救出するくだりは、レッド・クリフと同じように孤軍奮闘の大活躍をさせています。
この逸話は、中国では有名な話であり、趙雲子龍(ちょううん・しりょう) は中国の庶民誰もが知っているヒーローらしいことを想像させるものです。
【レッド・クリフ Part-1&2】 では、諸葛孔明(しょかつ・こうめい)の仕組んだ戦闘シーンと英雄物語が中心でしたが、 こちら【三国志】では、冒頭に戦争で死んだ兵士が変わり果てた姿で帰郷するシーン と取りすがって泣く肉親の人々や郷の人たちが描かれ、戦闘の裏に 多くの強制徴兵された庶民兵士が犠牲になっていることを描いていました。
一方では、趙雲子龍が孤軍奮闘するシーンなどでは、今や中国映画で多用されている ワイヤーアクションが目立ちました。 こうまでして実際には有り得ない活劇シーンを描く必要があるのだろうか? と思いましたが・・・
また、魏(ぎ)の曹操(そうそう)の孫・曹嬰(そうえい)は、「三国志演義」では、第二代魏・皇帝となっていますが、この映画では、総司令官(大都督)として最前線に登場し、しかも女性として描かれています。 この 若き美女都督・曹嬰 と 老いた趙雲子龍 が一騎打ちをする場面も描かれますが、ここもワイヤーアクションの連続です。

これまでの「三国志」映画やドラマやマンガでは描かれていない、晩年の趙雲子龍や 諸葛孔明が描かれている ところは、この映画の特徴かも知れません。
劉備玄徳(りゅうび・げんとく)亡き後、愚鈍な劉禅(りゅうぜん・成人した阿斗)を補佐して 何度も北伐(ほくばつ・魏に仕掛けた戦争)に失敗した諸葛孔明の疲れて老いた姿は象徴的です。 諸葛孔明は、北伐への参戦を望む趙雲子龍に「我々は老いた。過去の栄光を壊すと兵士の士気にかかわる」と参戦を辞退するように求めるのですが、この言葉は象徴的です。
映画の中では解説されていませんが、劉備玄徳亡き後の北伐は、「諸葛孔明の老害」と言う外無いと私は思っています。 豊臣秀吉が血迷って朝鮮侵略に地道を上げ、これが家臣団の反発や動揺を呼び起こし、家康に付け入る隙を与え、豊臣政権の崩壊を早めたのと同じような感じがします。
若き日の諸葛孔明の明晰さと戦略・戦術の冴えは優れたものであると思いますが(もっとも、その時代を見て来た訳ではなく、小説の描く範囲での話ですが・・・ これは秀吉も同じ)、 その 若き日の成功体験が彼の桎梏 となり、老いても先帝・劉備玄徳の望みであり、自らの若き日の戦略すなわち「天下三分の計から国の統一を果たす」ことに拘泥して、 侵略としか言えない北伐にこだわり続けて行く のです。 諸葛孔明も晩年は老害に陥り血迷ったと言えるのではないでしょうか?
この部分は吉川英治の「三国志」ではあまり詳しく描かれていなかったように思いますが(何しろ読んだのは30年ほど前なので記憶は定かでない上に、それから10年ほどして羅貫中の小説「三国志演義」の和訳を通しで読んだので)、 原作・羅貫中(らかんちゅう)の小説「三国志演義」では、劉備玄徳没後の孔明による北伐、そして諸葛孔明が五丈原で没し「死せる孔明 生ける中達を走らす」の故事や、後に孔明の意思を受け継いだ若武者・姜維(きょうい) による度重なる北伐についても相当の紙数を費やして書いています。
羅貫中は、晩年の諸葛孔明をリアルに描くことで、『若き日の栄光や成功体験に拘泥していては晩節を汚すことになる』 ということを読者に訴えようとしたのかも知れません。 もっとも、中国でも日本でも、この最後の部分まで読み進める人は「三国志」を読み始める人の数に比べて著しく少ないとは思いますが・・・
************************************ ランキングの応援をよろしく ⇒  ************************************ 公式サイトは、ここをクリック 余談:関羽と張飛は、レッドクリフの方が、私の先入観にあったキャスティングでした。
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 三国志 - goo 映画
goo映画による 【作品解説・紹介】 戦乱の中国。祖国統一を夢見る趙雲は劉備の率いる軍に参加。そこで志を同じくする平安と出会い、絆を深める。孔明の助言の下での奇襲作戦では敵の前衛隊長を撃破。しかし趙雲はそれを兄と慕う平安の手柄にするのだった。その後平安は魏国から追撃を受ける際に劉備の夫人と子どもを守護する役目を追うが、これに失敗。趙雲は友の汚名をすすぐため、単騎で劉備の妻子捜索へと向かい……。
多くの英雄が登場する三国志の中でも指折りの存在にして、劉備が建国した蜀国の五虎将の1人に数えられる武将・趙雲の半生を、アンディ・ラウの主演で映画化。「三国志演義」をベースに、常勝将軍として人々に慕われた男の生き様を描いていく。平安や曹嬰というオリジナルキャラクターも登場させ物語をドラマチックに仕上げる一方で、戦争シーンは実直な表現に。主君の子どもを単騎で救い出す、趙雲の人生における屈指の見せ場「長坂の戦い」では、無数の敵軍に囲まれながら必死に赤子を守り戦う趙雲の姿を力強く描き出した。アンディ・ラウは質実剛健な趙雲を真っ直ぐな演技で表現。その脇をサモ・ハン、マギー・Qらが支えている。
【スタッフ・キャスト】 監督:ダニエル・リー
出演 アンディ・ラウ マギー・Q サモ・ハン ヴァネス・ウー アンディ・オン
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