2017年8月2日(水)
このまえの日曜日の7月30日 KBCシネマで 映画 【ヒトラーへの285枚の葉書】 を見ました!

この題名は、如何にも日本人向けの『邦題』で、 原題は 【JEDER STIRBT FÜR SICH ALLEIN】 英訳すると“EVERYONE DIES ALONE” (死ぬ時は誰もひとり) 舞台は全てドイツなのに、使用言語は英語。 テーマの葉書(カード)に掛かれる言葉はドイツ語表記と云う『重箱読み』 極めて違和感あり。 これなら日本語吹き替えの方がマシ!
しかし、実は英語吹き替え上映には制作者の意図があったらしい。
【映画公式サイト】の監督インタビューより抜粋―原作は実話だそうですが、映画化する上でどのように考えて作りましたか。
ハンス・ファラダの出版社は、戦争が終わった1945年にハンスが刑務所から出てきた時、彼にゲシュタポについての文書記録を渡したんだ。 その記録にはドイツ人について多くのことが書かれてあった。ハンスはそこからクヴァンゲル家の話、検査官の話、そしてその他いくつかの話をピックアップした。 彼は当時のことを本当によくわかっていたと思うよ。彼もその時代をくぐり抜けたわけだから。 映画の中ではほとんど原作に忠実に描いている。 ハンス・ファラダは刑務所から出てきた時、あの本をどうしても書きたいっていう衝動に駆られたんだ。あの600ページに及ぶ本をわずか4週間足らずで書き上げたんだよ。しかも、書き上げた3か月後に彼は亡くなってしまったんだ。まさに最後の生きる力をこの小説を書き上げることに掲げたんだ。 それでもこの本が英語に翻訳されることはなかった。 2010年に初めて英訳が出て、出版界で大成功を収めた。 1946年に書かれた本が2010年に出版されたんだ。 これほどのベストセラーになるなんて素晴らしいことだよ。 つまりこの映画を英語で撮ることに決めたのも、それが理由のひとつだよ。
邦題をみると、勇気ある人が、ヒトラーに葉書を285回も送ったように思うが、 ヒトラー批判の短い(今でいえばTwitter 程度の文字数か)メッセージを書いた 絵ハガキのようなカードを街中に目立つように置いて帰ってくるだけの話し。

しかし、ナチス支配下では、これが命懸けの行動だった!
現在なら、監視カメラ網で一発で下手人は暴かれるが、1940年前後のことであり 下手人の発見に、警察も親衛隊(ゲシュタポ)も血眼になっている。
夫の行動に共感し、妻もカードを置く行動に協力するようになる。 息子がナチス軍の兵士として戦死したことが憤りの背景にある。

ところが、カードを忍ばせたポケットに孔が空いていたことから 自分が働いていた職場にカードを落としてしまい、そこから発覚!
最初に冤罪で逮捕された労働者は無罪だと言われたのに銃で殺害された!

形ばかりの裁判は行われるのだが・・・ (映画の中では開廷シーンだけで裁判の実態は不明)

夫婦ともギロチンに掛けられて処刑された・・・ と云う話し。
夫妻が街中に置いたカードの数は285枚。 その内267枚(95%)が即座に 警察や親衛隊に届けられて陽の目を見ず、民衆を動かすことは適わなかった。
実話をモデルにしているようである。
今の視点からみれば、決死の覚悟の割には無駄な行動のように見えるが、 我々のように、取り敢えず命懸けでは無くSNS上で安倍政権を批判し続けるよりは よほど勇気と覚悟の要る行動だったのだろう。 効果的だったかどうかは別だが。
【ヒトラーへの285枚の葉書】 公式サイト
Movie Walker による作品紹介 ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録を基に執筆した小説『ベルリンに一人死す』を映画化。 1940年、恐怖政治に凍てつくベルリン。 ヒトラーの忠実な支持者だった平凡な労働者夫婦が、一人息子の戦死をきっかけにナチス政権へ絶望的な闘いを挑む。 出演は「ウォルト・ディズニーの約束」のエマ・トンプソン、「未来を花束にして」のブレンダン・グリーソン、「僕とカミンスキーの旅」のダニエル・ブリュール、「悪党に粛清を」のミカエル・パーシュブラント、「パッション・ベアトリス」のモニーク・ショメット。 「王妃マルゴ」「インドシナ」などの俳優として知られるヴァンサン・ペレーズによる長編監督第3作。
********************* 作品データ 原 題 : JEDER STIRBT FÜR SICH ALLEIN 製作年 : 2016年 製作国 : ドイツ=フランス=イギリス 配 給 : アルバトロス・フィルム(提供:ニューセレクト) 上映時間 : 103分 *********************
フランスがドイツに降伏した1940年6月。戦勝ムードに沸くベルリンの古めかしいアパートで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに一通の封書が届く。それは最愛の一人息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りのメッセージをポストカードに記し、アンナとともにそれを密かに街中に置く。夫婦はささやかな活動を繰り返すことで魂が解放されていくが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポの捜査が二人に迫りつつあった……。
【キャスト・スタッフ】 役 名 : 配 役 Anna Quangel : エマ・トンプソン Otto Quangel : ブレンダン・グリーソン Escherich : ダニエル・ブリュール SS Officer Prall : ミカエル・パーシュブラント Frau Rosenthal : モニーク・ショメット
監 督 : ヴァンサン・ペレーズ 原 作 : ハンス・ファラダ 脚 本 : ヴァンサン・ペレーズ
KBCシネマの最前列にまで人が入る大盛況(ほぼ満席)で マイナーな映画なのに、百人近くが鑑賞していたと思います。
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