2012年10月6日(土) このブログでも 3週間まえに 取り上げたが
今日で、NHKの政治ドラマ 【負けて、勝つ】 の最終回が終了した。
最後に『どんでん返し』でもあるのかと期待したが、老いを描いていただけで、
政治的な問題点や大きなどんでん返しは無かった。
終戦処理である「サンフランシスコ平和条約」の前にして日本の再軍備の密約を
米国と交わした点は紹介されていたが、それは日本独立のためのやむを得ない選択肢
として描かれていた。
安保条約(日米安全保障条約)が、平和条約の公式調印の場ではない米国が用意した
別の場所(米軍将校クラブの地下室)であったことも描かれてはいたが・・・
白洲次郎が平和条約調印(日本の独立達成:エセ『独立』ではあるが)を花道に
引退を勧告するが、「鳩山か芦田の差し金か!」と怒る老醜も描かれてはいた。
しかし、どう見ても全体としてみると、吉田茂を戦後処理を一手に手掛けた偉大な
政治家として描かれていた。
エンドロールに重ねて、B52は映し出されたが、オスプレイは出てこなかった。
この時期であれば、安保の『遺産』の一つがオスプレイであることを暗に示すべきで
はなかったか?!
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NHK土曜ドラマスペシャル 『負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~』 すべてを失った終戦後、日本の命運は一人の男に託された― 誇りを失わず日本を再生に導いた男・吉田茂の激動の日々!
【放送】2012年9月8日(土)スタート[全5回] [総合] 午後9時00分~10時13分 【 作 】坂元 裕二 【音楽】村松 崇継 【エンディングテーマ歌唱】ジョシュ・グローバン 【出演】渡辺謙 デヴィッド・モース 松雪泰子 谷原章介 田中圭 鈴木杏 永井大 初音映莉子 中村敦夫 ・ 金田明夫 篠井英介 吉田栄作 大藏千太郎 ・ 野村萬斎 ・ 加藤剛 ほかの皆さん 【制作統括】 中村 高志(NHKドラマ番組部)
渡辺謙 インタビュー Q ) この作品のオファーが来た時は
A ) 僕は昭和34年生まれですが、吉田茂さんの印象というのは、映像や、ちょっとしたうろ覚えの情報しか無いんです。戦後の、非常に強烈な宰相、総理大臣という印象はありましたが。歴史が近いことや実在の人物ですので、果たして政治家をドラマとしてやるのは一体どうなのだろうと、正直最初は少し尻込みをしていました。 脚本の坂元裕二さんが、吉田茂という男が人生の中で何を抱え、何を悩み、何に突き進んでいったかを、本当に深いドラマとして描いて頂いていて、準備稿の段階でしたが台本を読んだ時に、この人は面白い人だったと直感的に思いまして。その時点から僕もどんどんリサーチをしていきましたが、リサーチをする以上に脚本が面白かった。それが後押しをしてくれて、その時点でやりたいと思いました。
Q ) 役作りについて
A ) 本人の特徴を、体格も明らかに違うし、顔の造作も違うわけですから、真似るのは止めようと思いました。ですが、やはりあの"吉田茂の風貌そのものがかもし出す空気感"みたいなものがどうしても必要で。それくらい強烈なキャラクターですから、どこまで出来るか分からないけれども近づいてみようと思いました。徐々に体重を増やしながら…最終的には8.5キロくらい体重を増やして。衣装の中にも詰め物をしましたが、このへん(両ほほを差して)の、顔の輪郭を特殊メイクでやりたくはなかったので。鼻眼鏡に葉巻を吸って、どこまで吉田茂の輪郭に迫れるか、というのは挑戦しましたね。
Q ) 吉田茂はどんな人物か
A ) 一言で言うならば、「孤高の人」ではないかと思いましたね。孤独でもあり、プライドの高い人でもあり、その中で彼の真意や、本当の心を分かってくれる人は数少なかったんじゃないかという気がします。
Q ) 吉田茂と共鳴する部分はありましたか
A ) どこまで近いかは分からないですが、"あまり前例を考えない、今まであったことを踏襲しない"ところというのは、似ているかもしれません。今、何が必要で、何をするべきなのかということに非常に嗅覚を持っている人物だと思いましたし、僕も年を経るに従ってそうなっていったところがあります。あまり常識というか"こうあるだろう"ということに囚われない。そういう発想は、演じていてとても面白かったですね。
Q ) 印象に残っているシーン
A ) 最初にこのドラマでひっかかったところは、(松雪泰子さん演じる)内縁の妻である「小りん」という女性とのシーンです。各話ごとに、様々なターニングポイントや、茂が落ち着けるシーンなど、一話一話の中にある小りんのシーンというのは、やりがいがありましたし、とても難しかったです。小りんの存在が、吉田茂にとっては本当に大きかったのだろうと感じて頂けるシーンになっていると思います。小りんという女性は、自分からアクティブに行動したり発言したりする役ではないんですね。一箇所だけそういうシーンがありますが、それも明確に答えを出すわけではなくて、目を覚まさせるというか。全てを受け止めながら、太陽のように…というかむしろ、お月様のように闇夜に輝いている感じが有るので、表現するのは難しかったと思いますが、芯の強いたおやかな女性を演じて下さったと思います。
Q ) 戦争の記憶が薄れる中で、この作品が持つ役割とは
A ) 「硫黄島からの手紙」という映画をやった時から常々思っていたことですが、社会や自分も含めて、日本という国が、歴史から学ぶことがとても下手だという気がしているんです。良いことも悪いことも功罪含めてきちんと検証して、それを持って未来への糧にしていくということが。沢山の要素があるので、ひとつの論理で決めることは難しいと思うんですが、様々なことを洗いざらい検証して、また同じ事が起こらないようにやっていきましょうね、ということがあまり得手ではない。 それは戦後に関してもそうで、どういう形で日本は敗戦を受け入れ今の礎を作っていったのか、歴史の教科書にはなかなか載っていないし、僕たちが知ることが無い。近々のことで言えば、地震の事であったり津波、原発のことであったりを、全部一度テーブルの上にさらけ出して検証してから先に進みましょう。…ということが、本当に上手くない気がするんですね。僕たちはこのドラマで、「どうだこれが正しい日本の戦後の歴史なんだ」と言うつもりは一切無いです。「こんなことだったのかもしれません」という、もう一度検証するヒントとして、このドラマがあってほしいと思っています。人間ドラマとして楽しんでいただく要素はもちろんあると思いますが、その中の要素のひとつには、戦後の歴史を、もう一度原点に戻ってみるという、そういうドラマに成り得るのではないかと思います。
Q ) マッカーサー役のデヴィッド・モースさんの印象
A ) ダグラス・マッカーサーとのやりとりはこのドラマのメインでもあり、一番大きな柱となるので、彼のような、技術も精神も非常にしっかりしたものを持った方に来て頂いて、我々もぶつけがいがあったというか、彼そのものが"敗戦国に立ち向かう大きな壁"のような存在だったので…身長も190ちょっとあって大きいですが、そのスケール感みたいなものが出せる俳優さんは多くは無いと思うので、本当に僕らは楽しかったですね。
細かくリハーサルをする時間があまり無かったので、セッションしながら、ここはどうする、どうやっていくというのをやって、その後すぐに撮影に入るという方法でしたので、このシーンがどこに向かって帰結していくのか、地図を持たないで船出するシーンが多かったんですね。緊張感もありましたが、俳優としては非常に楽しい時間を一緒に過ごすことが出来ました。
Q ) 撮影現場の雰囲気は
A ) この作品の撮影スタイルはNHKっぽく無かったと思うんですね。僕は海外で仕事させて頂く機会が多いですが、向こうはどうなのかと聞かれて、撮り始める前にお芝居を決めておかないで、そこから何が生まれるか、手探りの形でやった方がデヴィッドもきっと、すっと入れるのではないかと、お話させて頂いて、そのスタイルをとったので、"さあどうしようか、このシーンはどこに座って、どう動いたらいいか"と、一から作り上げて、積み重ねていく撮影をしていきました。ある意味NHKらしくない撮影でしたし、スタッフもいい緊張感を楽しんだと思います。
Q ) 吉田茂の生きた時代を通して、今の時代に何が必要か
A ) この1~2年は日本という国だけでなく世界的に、今までやってきた良しとされてきたことが揺らいでいる時代だと思うんです。本当は一度リセットして構築し直さなければいけない時が明らかに来ているにもかかわらず、なかなか出来ない。 吉田茂が政治の世界に引きずり出された、「敗戦」という中では否応なしにリセットせざるを得ない状況だったわけですよね。各国からも敗戦国として迫られる。従来のものの価値観や考え方だけで立て直すのではなく、この国が向かっていくべき道を思い切って探らなくてはいけない時代だと思うんです。 敗戦というのは有る意味特殊な状況ではありますが、常にそういう難しい状況の中で今日を生き、明日を見せなければいけないんだということを、僕はこのドラマで学んだ気がします。
Q ) 撮影を終えて
A ) サクセスストーリーで終わりたくなかった。政治家、権力の中枢にいる人間として、そんなに清く正しく生きることは出来ないわけじゃないですか。清濁併せ持つ。ある種権力を握ってしまったが故にしがみついてしまう、そういう醜さというか、格好悪さまで僕はこのドラマでやりたかったし、坂元裕二さんも見事にそういう脚本を書いて頂いたんですね。彼が素晴らしい総理大臣だったというだけでなく、急な坂道を駆け上がって転落していくっていう、ジェットコースターのような人生を歩んできたので、それに並走した身としては大変でしたね。 状況が全然違うんですよ。GHQと向かい合っている状況と、大磯の自宅で妻や子と話している状況が。全然違うドラマを3つくらい、5話分やった感じがしています。それも含めて楽しかったですね。
Q ) 吉田茂役の魅力は
A ) 時代感もあると思いますが…今そこにあること、今思っていることを、なかなかぶつけ合えない家族であり、人間たちであったりするわけですよね。それが、僕ら俳優が演じるにはとても魅力があります。その時本当は何を思っていたのかは分からないんですよね。その、分からない部分が沢山あればあるほど魅力があるし、そこを坂元さんも脚本で書いて下さるわけだし、そこを補う部分を僕たち俳優が付け足していくわけだし。やっぱりこう、"とても分かりにくい人たち"だったんですよね。 人間的にも魅力があったし、しかもそれが政治家であるという。 演じていて、"こういうことなのか"と思ったのは、家で夕食後に団欒しているときに、「お父さんは人気無いのよ」って娘(鈴木杏さん演じる和子)に言われたりするんですよ(笑)。政治家の家ってこういう感じなのかなって。なかなか想像つかないじゃないですか。平気で娘が父親に「お父さんは人気ないんだよね、支持率低いじゃないの」と言ってしまうというのは、普通の家庭ではありえないなという、それはありましたね(笑) 「土曜ドラマスペシャル」公式サイトより
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