観劇レビュー&旅行記
【観劇レビュー&旅行記】を中心にFC2上で、私も思いを気の向くままに書いてゆきます。 gooブログでも【JUNSKYblog2007】のタイトルで、政治・時事評論を中心に引続き運用します。リンクの一番上に記載しています。


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junsky07

Author:junsky07 2006年までgooで書いていた「観劇レビュー&旅行記」(リンクの1行目)をFC2に移転します。
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『フラガール』 を支えた 映画ファンドのスゴい仕組み
 岩崎明彦氏が新しく創刊された「角川SSC新書」新刊10冊の中の1冊として脱稿した
【『フラガール』 を支えた 映画ファンドのスゴい仕組み】 を読んだ。
フラガール01s

                      フラガール02s

 大阪までの新幹線の往復で読み終えた。

 導入部は、日本アカデミー賞授賞式の臨場感あふれる緊張の一瞬の描写から始まり、読者を一気に『フラガール』の世界に引き込んでしまう。

furagirl01s.jpg

 そして、監督・李鳳宇さんが、常磐炭鉱の復興物語に惚れ込み、経営者の復興に取り組む姿を映画化するという方向から、復興の手法としてのハワイアンセンターでフラダンスを教えるダンス教師と全く素人の若者がダンサーに変身して行く姿、そしてそれに反発しながらも理解を深めてゆく家族物語へ展開してゆくドキュメンタリーを描いてゆく。

 途中を省略するが、この映画を実現するために創設した映画ファンド
「シネマ信託 〜シネカノン・ファンド 第1号〜」にまつわる数々の逸話や映画産業の古いシステムなどにも大胆に触れている。
 「ファンド」という名称が、何か『山師』か詐欺師のように思われて苦労した話やマンツーマンの説得でこれを克服して行った話など、興味深い話がそこここに散りばめられている。

【裏表紙の能書き】
フラガール02m


 フラガール・ファンや映画好きの方、また一儲けしたい「金持ち」の皆さんには必読の書ではないだろうか?

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【関連記事】
【フラガール】JUNSKYblog2007  
テーマ:**おすすめbook!!** - ジャンル:本・雑誌

宮尾登美子 「天璋院篤姫」
 この1月から読み始めた宮尾登美子の 「天璋院篤姫」の上巻をようやく読み終えた。
上巻で、すでに将軍徳川家定の御台所に座っている。

 病弱であった家定の後継者選びで波乱しているところで、上巻は終わっている。

 ちょっと間を置いて今日から、下巻を読み始めた。

AtsuhimeBookcover01S.jpg



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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

津島修治(太宰治)の旧制高校時代自筆ノート発見
津島修治(太宰治)が、自画像も描いていた旧制高校時代自筆ノートが発見されたという。

青森県近代文学館(青森市)は、全ページの写真を収録した資料集を刊行した。
資料集は1冊1200円。問い合わせは、同館(017・739・2575)へ。

太宰治の旧制高校時代自筆ノート発見…悩める自画像も(読売新聞) - goo ニュース


        読売新聞  2008年4月1日(火)13:19

       DazaiOsamu


 故郷・青森県を題材にした作品を残した太宰治(1909〜48年)が旧制弘前高校時代に使っていた自筆の大学ノート(A4判)2冊が見つかり、青森県近代文学館(青森市)は、全ページの写真を収録した資料集を刊行した。

 「英語」(1年時)と「修身」(2年時)の2冊で、ペンネーム「辻島衆二」も書かれ、自画像とみられる似顔絵などの落書きも多数ある。全ページが公開されるのは初めて。

 太宰は同県五所川原市(旧金木町)出身。1927年春に旧制弘前高校に入学し、東京帝国大学文学部仏文科に進学するまでの3年間在学した。

 発見された2冊は、いずれも裏表紙まで使われている。「修身」のノートには、本名の「津島修治」のほか、太宰が当時主宰した同人誌で使っていた「辻島衆二」も書かれている。「英語」のノートの余白には、これまで存在が知られていなかった詩のような文章も見つかった。同館によると、こうした文章は、学期が進むごとに増え、成績が落ちた時期と一致するという。

 資料集に解説を寄せた安藤宏・東京大学准教授(日本文学)は、「高校時代の太宰の姿を知る貴重な資料で、後の太宰文学につながる自意識の強さがうかがえる」としている。

 資料集は1冊1200円。問い合わせは、同館(017・739・2575)へ。 



テーマ:雑記 - ジャンル:学問・文化・芸術

「蟹工船」再脚光…格差嘆き若者共感 (読売新聞)
最近 小林多喜二の「蟹工船」 に脚光が浴びていることは、労組の機関紙や、しんぶん「赤旗」などでも良く出ているが、これを讀賣新聞が取上げたことに、それこそ脚光が浴びせられよう。

題して、
「蟹工船」再脚光…格差嘆き若者共感、
   増刷で売り上げ5倍
 (読売新聞) - goo ニュース


結構長い紹介文が出ているのも驚きだ。
Web版から全文を引用しよう。

 「蟹工船」再脚光…
  格差嘆き若者共感、
    増刷で売り上げ5倍

                 読売新聞  2008年5月2日(金)15:13

      Kanikousen080502.jpg

     (画像も読売新聞Web版から引用)


 プロレタリア文学を代表する小林多喜二(1903〜1933)の「 蟹工船 ( かにこうせん ) ・党生活者」(新潮文庫)が、今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている。

 過酷な労働の現場を描く昭和初期の名作が、「ワーキングプア」が社会問題となる平成の若者を中心に読まれている。

 「蟹工船」は世界大恐慌のきっかけとなったニューヨーク株式市場の大暴落「暗黒の木曜日」が起きた1929年(昭和4年)に発表された小説。オホーツク海でカニをとり、缶詰に加工する船を舞台に、非人間的な労働を強いられる人々の暗たんたる生活と闘争をリアルに描いている。

 文庫は1953年に初版が刊行され、今年に入って110万部を突破。丸善丸の内本店など大手書店では「現代の『ワーキングプア』にも重なる過酷な労働環境を描いた名作が平成の『格差社会』に大復活!!」などと書かれた店頭広告を立て、平積みしている。

 多喜二没後75年の今年は、多喜二の母校・小樽商科大学などが主催した「蟹工船」読書エッセーコンテストが開催された。準大賞を受賞した派遣社員の 狗又 ( いぬまた ) ユミカさん(34)は、「『蟹工船』で登場する労働者たちは、(中略)私の兄弟たちがここにいるではないかと錯覚するほどに親しみ深い」と、自らの立場を重ね合わせる。特別奨励賞を受けた竹中 聡宏 ( としひろ ) さん(20)は「現代の日本では、蟹工船の労働者が死んでいった数以上の人々が(中略)生活難に追い込まれている」「『蟹工船』を読め。それは、現代だ」と書いている。

 また一昨年、漫画版「蟹工船」が出版され、文芸誌「すばる」が昨年7月号で特集「プロレタリア文学の逆襲」を組むなど、再評価の機運が盛り上がっている。

 新潮社によると、購読層は10代後半から40代後半までの働き盛りの年代が8割近く。同文庫編集部は「一時期は“消えていた”作品なのに」と驚きつつ、「ここまで売れるのは、今の若い人たちに新しいものとして受け入れられているのでは」と話している。
 


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Webで読める【蟹工船】  ポラリス より引用
蟹工船・小林多喜二

『マンガ蟹工船』を無料公開!! 白樺文学館多喜二ライブラリー  

【関連記事】
蟹工船 ポラリス 2008/01/21(月)

若者たちはいかに 「蟹工船」 を読んだか
 ポラリス 2008/02/09(土)



シェークスピアのたくらみ
岩波新書
「シェークスピアのたくらみ」
を読みました。

Shakespea.jpg

        シェイクスピアのたくらみ
      (岩波新書 新赤版 1116) (新書)
          喜志 哲雄 (著)


 シェークスピアが書いた戯曲の構造を解説する本ですから、
ある程度、彼が書いた戯曲を読んでいるか、あるいは演劇を観たことがないと着いて行けません。

 もちろん、こういうタイトルの本を読もうかと思う人は、全くシェークスピアが書いた戯曲に接したことがない人は居ないとは思いますが、ある意味相当なファン又はオタクでないと、意味が解らないと思います。

 内容は、殆どの戯曲に及ぶもので、悲劇は単なる悲劇ではなく、喜劇も単なる喜劇ではないという、言わば二重構造の展開を説明してくれる訳です。

 私は、蜷川幸雄氏のシェークスピア全戯曲公演のプロジェクトの相当部分を観ているので、解らないこともありませんでしたが、内容を殆ど忘れているものも多く、また全く知らない戯曲も紹介されていて「着いてゆけません」でした。

 著者の喜志 哲雄は、シェークスピアが劇中人物と観客との間に意図して作った距離感に注目して論を進め、観客が劇中で起こるであろうことをあらかじめ知っている場合(劇中人物にとっては未来のことなので知らない)場合、または劇中人物は自らの過去を知っているが観客は知らない場合など様々なケースをそれぞれの戯曲に当てはめて解説している。

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 以下は、Web上の記事の御紹介。

...read more テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

芥川龍之介の遺書4通 公開
 朝日新聞などによると、昭和の始まりとともに自殺した
         芥川龍之介

Akutagawa_Ryunosuke_photo.jpg

の遺書が4通見つかり、複製が公開されると言う。(写真はWikipediaより)

 作家らしく、遺書も二百字詰め原稿用紙に黒インクで書いてあるという。

記事によると、遺書なのに何度も推敲した経過が見えるという。
何事にも緻密に取組む人だったんだ。

      TKY200807180123.jpg
  (あらたに発見された芥川龍之介が子どもたちにあてた遺書
   =18日午前10時30分、東京都目黒区駒場の日本近代文学館、
      筋野健太撮影       asahi.com より拝借)

「人生は死に至る戦ひ」芥川龍之介の幻の遺書4通発見(朝日新聞) - goo ニュース  

 「人生は死に至る戦ひ」芥川龍之介の幻の遺書4通発見
              朝日新聞  2008年7月18日12時15分

 35歳で自殺した作家芥川龍之介の遺書4通の現物が、東京都目黒区の遺族宅から見つかった。芥川の遺書の内容は6通分が全集に収録されているが、一部を除いて焼却処分されたと思われていた。同区の日本近代文学館に寄贈され、19日から複製が一般公開される。

 芥川の遺書6通のうち、友人の小穴隆一あてと妻文子あての断片が同文学館に保管されていた。今回新たに現物が見つかったのは、妻あての2通と「わが子等(ら)に」と題された子供たちにあてた1通、友人の菊池寛にあてたと思われる1通。

 愛用していた松屋製の200字詰めの原稿用紙に、黒色のインクでしたためられている。芥川らしい細い字体で、「人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず」(子供たちあて)など、一字一字楷書(かいしょ)で丁寧に書かれている。推敲(すいこう)の跡も見える。

 妻にあてた遺書の中に「この遺書は直ちに焼棄せよ」と遺言されていたことから、処分されたと思われていた。この春、孫の耿子(てるこ)さんが自宅を整理していて発見した。

 芥川は、作家としての絶頂期にあった1927年7月、「将来に対する唯(ただ)ぼんやりした不安」との言葉を残し、東京・田端の自宅で服毒自殺した。  



竜之介の遺書4通発見 焼却免れ、遺族が寄贈(共同通信) - goo ニュース
PN2008071801000320.jpg
  (この写真は共同通信Web版より拝借)

芥川龍之介自筆の遺書4通(産経新聞) - goo ニュース


幻の源氏物語写本を発見
 今日の文化面の話題は、断然これにつきる!
「源氏物語」 の オリジナルに迫る「大沢文庫」が再発見されたという話である。
第2次世界大戦を挟んで、70年近くも紛失扱いとなっていた重要文化財級の書物だという。

今後、詳しく比較検討され文学者や科学者によって分析されてゆけば、よりオリジナルに近づくことができるであろう。

当時は、当然コピー機も電子メールもインターネットも無いから、和紙に墨書という手段で伝えてきたわけであるが、今回の資料は虫食いもほとんど無く、極めて保存状態の良いもので、その上、藤原定家が校正した本よりも一層古いと言うことだ。

大いに期待したい。

ところで、私は高校の古文で勉強した以外は、源氏物語を読んだことはない。
これを題材にした映画や宝塚ミュージカルは見ているが・・・

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幻の源氏物語写本を発見 重文級、独自の文も(共同通信) - goo ニュース

GenjiMonogatari.jpg
      (この写真も共同通信Web配信より借用)

幻の源氏物語写本を発見 重文級、独自の文も
                        共同通信  2008年7月21日(月)23:56  

  源氏物語の写本の一つで約70年間、行方が分からず幻の存在だった「大沢家本」が見つかり、国文学研究資料館の伊井春樹館長が21日、大阪府内の講演会で発表した。

 54帖がすべてそろい、国学者小杉榲邨による1907年の鑑定書なども添えられており、重要文化財級という。所有者の意向で、所在場所などは明らかにされていない。大沢家本は鎌倉時代から室町時代にかけて書き写されたとみられる。 


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源氏物語の写本見つかる
   =鎌倉中期と見られる大沢家本

(時事通信) - goo ニュース

                        時事通信  2008年7月21日(月)22:30  

  「源氏物語」の全54帖(じょう)がそろった写本「大沢家本」が奈良県の旧家で見つかり、調査した伊井春樹国文学研究資料館長が21日、大阪府堺市内で開いた講演会で実物と確認できたことを明らかにした。現在読まれている源氏物語にない表現もあり、貴重な資料という。

 同本は、鎌倉時代中期のものと見られ、各帖縦横約16センチ。室町時代末期に整えられた。大沢家の先祖が豊臣秀吉から拝領したという伝承があり、1940年ごろまで同家が所蔵していたが、その後約70年間所在不明になっていた。 


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源氏「大沢本」 28帖もの別本、紫式部の原本に迫る
(産経新聞) - goo ニュース

                        産経新聞  2008年7月22日(火)08:15  

 
 源氏物語千年紀の今年、姿を現した「大沢本」は、源氏物語研究に新たな道筋を開く可能性に満ちている。何より国文学者たちが注目するのは、これまでの研究では非主流だった「別本」と呼ばれる写本が54帖中、28帖もあることだ。

 日本を代表する古典として有名な源氏物語だが、紫式部の自筆原稿(原本)は残っていない。必要に応じ、書き写すことにより読み継がれてきた。だから、筆写を重ねるうちに相違点も積み重なっていく。


 紫式部から約200年後の鎌倉初期、歌人の藤原定家が、さまざまな写本の中から54帖をまとめたのが表紙の色からそう呼ばれる「青表紙本」で、4帖が現存する。私たちが目にする源氏物語の多くは青表紙本系統の「大島本」をもとにしている。


 また、鎌倉中期に源光行父子が校訂した「河内本」も室町中期まで広く読まれたが、定家の名声の高まりとともに廃れた。


 一方、大島、河内の両系統に属さず、これまで「別本」と呼ばれてきた写本群がある。代表は「陽明文庫本」。源氏物語の最古の注釈書「源氏釈(しゃく)」(平安末期)と近似し、古い表現が残り、平安期の源氏物語に迫る手がかりとなるという。


 “定家以前”の別本研究は最近、新発見が相次ぐ状況にある。そのタイミングで今回、54帖そろった大沢本が出現した意味は大きい。大沢本の系統別内訳は、青表紙本系統が22帖、河内本系統4帖、別本28帖となっている。「夕霧」の巻末に「なにはの浦に」という一文が記されるなど、これまでの写本には見られなかった数々の相違点があるという。


 池田和臣・中央大学教授は「源氏物語の研究は、これまでの概念にとらわれず、文献学に基づいて本文を読み込み、洗いざらい初めからやり直さなければならない時期に来ている」と話す。大沢本の公開が、その画期となることは間違いない。(牛田久美) 


「源氏物語」 幻の写本確認 「大沢本」 独自の記述(産経新聞) - goo ニュース
テーマ:日本文化 - ジャンル:学問・文化・芸術

『名ばかり管理職』 NHK取材班・著
 「名ばかり管理職」 という呼び名をNHKが命名したかどうかは知らないが、
私は、NHKの特集番組で、この名前を見て、「言いえて妙である!」と感心した。

 その追及も中々真に迫っていて、NHKさんアッパレ!と思った。

これを取材したチームが、この内容を本にしたという。
その題名もズバリ  『名ばかり管理職』
著者名も又ズバリ 『NHK「名ばかり管理職」取材班著』

私は、まだ読んでいないのだが、是非紹介しておきたいと思ったところ。

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 毎日1冊!日刊新書レビュー
 96時間のうち86時間勤務、残業代ナシ、訴えていいよね?
 『名ばかり管理職』
             NHK「名ばかり管理職」取材班著
                       生活人新書、700円(税別)
    日経ビジネス・オンライン 書評 2008年8月5日(火)09:00

【評:荻野進介】

 自宅近くのファミリーレストランをよく利用する。何人ものスタッフがいる中、一番愛想が悪くて、いつも顔に疲労感を漂わせている男性が目につく。名札を見ると店長だった。店の状態は明らかに人手不足だ。

 都内有数の幹線道路沿い、24時間営業のファミレス。激務に違いない。彼もまた、残業代なしで限界まで働かされる「名ばかり管理職」のひとりなのだろうか。

 人口に膾炙した感のある、その「名ばかり管理職」の実態を、名づけ親であるNHKテレビの取材班が、今年3月に放映された番組(NHKスペシャル)を再構成したのが本書である。

 元はテレビ番組だけに、インパクトのある事例の紹介が中心で、読みやすい。労働法専門の学者やジャーナリストが書いたら、もっと詳しく、込み入った内容になっただろう。そこが本書の長所でもあり短所である。

 冒頭で紹介される2人の事例が悲惨だ。

 ひとりはコンビニの元店長で、アルバイトが抜けた穴を自ら埋めながら激務を続けた。例えばある月の4日間は、2日続けて24時間勤務した後、店の近くにある自宅で10分だけ休んで踵を返し、深夜まで17時間勤務、翌日も22時間働くという働きぶりである。4日間、計96時間のうち86時間勤務というから、もはや奴隷以下といってもいいかもしれない。もちろん残業代はゼロである。

 20代後半のこの人は会社を辞め、現在、残業代支払いの訴訟を起こしているが、もうひとりはさらに深刻だ。

 30代前半のファミレスの店長が、労災で過労死が認められる残業月80時間をはるかに上回る、月158時間から239時間の残業を半年間続けた挙げ句、突然倒れ、意識不明の重態に陥り、寝たきりになってしまったのである。

 両親の介護を受ける、パジャマ姿の彼の写真が載っているが、二本の棒のように長細い両足が実に痛々しい。両親が訴訟を起こしたが、会社側は「あくまで自主的な労働であって、こちらに非はない」と主張しているという。

 こんな風に手遅れになる前に裁判に持ち込むべきだ、という意味を込めてか、マスコミをにぎわせたマクドナルドの現役店長の裁判事例が次に紹介される。今年1月の第一審で、店長の訴えが認められ、勝訴に至ったのは記憶に新しいところである。

管理監督者は「出退勤の時間が自由」な人
 名ばかり管理職の問題の本質は、企業が残業代を支払う義務がない、労働法で定めるところの「管理監督者」と、実際の「管理職」の働きぶりの間に大きな齟齬が生まれているところにある。

 同法で定められる管理監督者とは、

経営と一体的な立場にあり、方針の決定に関わる重い権限が付与されている
働く時間を管理されず、出退勤の時間も自由
一般社員に比べ報酬が高い
 という3要件を満たすことだ。ちなみに、先に紹介した3例とも、要件をひとつも満たしていないのは明らかである。

 ここまでで終われば、単なる企業糾弾本に過ぎないが、経営側の苦しい胸のうちを探った、次の2つの事例が読ませる。

 ひとつは労働基準監督署からの指摘を受け、管理職制度の是正に動いた書店チェーンの運営会社である。この20年間で、店舗数を4倍に急増させた同社は、拡大に見合った人材の確保と育成が追いつかなかったため、店長一人ひとりの能力が鍵を握る、それまでの店舗独立採算制を止めた。経験の浅い人でも店長になれるよう、店舗運営から商品の仕入れまで、本社が一括して管理するやり方に改めたのだ。先にあげたコンビニ、ファミレスと同じ、いわゆるチェーンストア方式である。

 この施策が「名ばかり管理職」発生の温床となってしまった。つまり、経営者並みの強い権限を持っていたかつての店長が、本社からの指示をこなすだけの一労働者になったのに、その待遇は残業代の要らない「管理監督者」のまま。その事実を知った労働基準監督署から是正勧告を受けたのである。

 社長は、店長を管理職から外し、残業代を支払うという決断を下した。その代わり、パートを増員させるなどして、店長の残業時間を減らす施策も打ったが、結局、総人件費が増えてしまった。これまでは積極的な出店で業績を確保してきた同社だが、このコスト増が足かせとなり、その戦略自体が見直しを迫られているという。 


毎日1冊!日刊新書レビュー 96時間のうち86時間勤務、残業代ナシ、訴えていいよね?〜『名ばかり管理職』NHK「名ばかり管理職」取材班著(評:荻野進介) 生活人新書、700円(税別)(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース


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