2009年4月15日(水)
なお、昨夜(4/15)FC2の一部機能更新に伴い、編集画面が開かなくなり、書きかけていた記事が消失してしまいましたので、この記事は4月16日に再度作成しています。
今回の展覧会は、日本初公開のものが多く、チベット・ポタラ宮殿や国内の寺院からの文物はもちろん、中国内のチベット自治区や河北省承徳(しょうとく)にある世界文化遺産に登録された宮殿、寺院や博物館などからの名品も含め 「国家一級文物」 など123点が公開されています。
チベット仏教の「仏教感」は、「日本人の仏教感」とは相当な隔たりがあるようで、ある種の異和感さえあります。
その代表的な事例が、「父母仏」像なのですが、このブログでは書きにくいような表現がされています。 つまり、父母仏が『和合』(「釣りバカ日誌」風に言えば「熱烈合体!」)している壁画だったり、仏像だったりするのです。 そして、これは例外的なものではなく、さまざまな手法(絵画、壁画、絵巻、彫像など)で、表現されているのです。
たとえば、前回(1回目)書いた記事に紹介した、この展覧会のチラシに大きく掲載されている仏像(下の写真)です。 チラシのタイトル画像ですので、今回の展覧会の「目玉」の一つだと思います。 (下の仏像の顔には「目玉」は三つずつありますが・・・)

【方便(慈悲)の象徴である父と空の智慧(般若)の象徴である母が抱き合う姿を表す。 この二つが一体となることで悟りの境地に到達するという】 ありがたいお話です。
さすがに、チラシには下半身は掲載されていませんが(それでも熱烈キッスはみてとれますが)、彫像などではあられもない下半身が表現されているのです。 (一方で、現在のチベットでは、仏像に衣装を着せているので、赤裸々な姿態は見られないそうです。)
九州国立博物館のホームページでも、さすがに『合体』状態を横から撮った画像は、公開されていませんが、後方(母仏)から撮ったものが掲載されていましたので、以下に転載します。

この「父母仏立像」について九州国立博物館のホームページの解説を引用すると [国家一級文物]カーラチャクラ父母仏立像(ぶもぶつりゅうぞう) チベット・14世紀前半・総高59.5cm・シャル寺
後期密教において、チャクラサンヴァラ、ヘーヴァジュラ、ヴァジュラバイラヴァ、カーラチャクラなどのへールカと呼ばれる仏(忿怒尊・ふんぬそん)が登場する。これらの仏たちは多くの顔と腕を持ち、明妃(みょうひ)と交わり、しかも人々を恐れさせるような外見をしている。 仏の4つの顔にはそれぞれ3つの眼があり、24本の腕には金剛杵(しょ)、鈴、斧、弓、矢、索(さく)などが見られ、妃ヴィシュヴァマーターを抱いた姿に現される。 この仏の名前が、サンスクリット語で時間(カーラ)と輪(チャクラ)を意味することからわかるように、時間の流れを象徴する尊格である。この仏を中心としたマンダラを扱う経典『カーラチャクラ・タントラ』は、インドの天文学や暦についても詳しく触れている。絵画で表現される場合、仏の身色は青黒色である
部分拡大すると(趣味が悪い?!)

上記の「父母仏立像」とは別の「蓮(はす)マンダラ」 の中にも僅か5センチに満たない精緻を極めた『和合』像が鎮座していて、こちらは座位で『和合中』です。
「蓮(はす)マンダラ」 (台座も含む全体の高さが43cm)

[国家一級文物]蓮(はす)マンダラ 15世紀・開いた状態:高43.0cm/閉じた状態:57.0cm・ポタラ宮
明妃を抱く姿に表現されたサンヴァラは、蓮華花弁の中心に坐している。八葉の蓮弁の内外には、仏像などが配されている。このマンダラは、頂部の部品を取り外すと、蓮花が開花する精巧な作りで、複雑な金線細工の蓮華茎で支えられている。台座の「大明永楽年施」という銘文から、明代宮廷工房で製作されて永楽帝からチベットへ贈られたことがわかる。もととなったインド・パーラ朝(8〜11世紀)の類品に比べ、より装飾的でさらに高い芸術的完成度を見せている。
蓮の花弁の内部の拡大 (座位で『和合中』)

これとは、別で同様の様式のもの (下の写真 立位で『和合中』)

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